天使たちは語り合う
天界では天使たちが楽しそうに会話をしていた。
「早いね。もう二人きりで話すところまで進んじゃった。」
「まあ、遅かれ早かれくっつくんだからどっちでもいいよ。」
「こっから二人の恋愛が始まるんだね」
「誰かに執心するわけじゃないけど、新浜蘭は幸せになる権利があると思うの。」
「僕もそう思うよ。だって、一か月前に両親を事故で亡くしてるなんてかわいそうだもの。」
「そうだよね。幸せになってほしいね。」
天使たちは、悲しそうな顔で話をしている。彼らは人と同じように心を痛めることがあるようだ。そんな雰囲気の中、ある天使がつぶやく。
「もちろん私も新浜蘭は幸せになる権利があると思うの。だけど、朝比奈美咲はどうなるの?本当は彼女と浅間雪斗をくっつける予定だったけど。」
「しょうがないでしょ。新浜蘭の心をケアできるのは、いろんな未来を覗いてみても、浅間雪斗しかいなかった。これがベストな選択だよ。」
「そうだけど・・・」
「朝比奈美咲には別のやさしい人間をつなげておいたよ。大丈夫、彼女も幸せになる未来が見えているから。」
「そんな、全員を筋書き通りになんて無理だよ。本来の予定とは違う人に赤い糸を結ばないといけないことなんてこれまでもたくさんあったじゃない。」
「うん・・・」
天使たちは気ままに活動しているように見えてちゃんと人間のことを思って赤い糸をつなげているようだ。できるだけ多くの人が幸せになるように。しかも、かなりのマニュアルがあるようだ。
「僕も申し訳ないと思っているよ。でも、これまでもこういうことはあったからね。嫌なのはさ、人間はその糸を外しても恋心が残っちゃうことがあることだよね。」
「そうだよね、私たちが丁寧に糸の組み合わせを変えても、結構な頻度で恋心が残っちゃうことがある。」
「そのせいで、人間界には『失恋』ってことが起こるんだもんね。」
「人間に赤い糸が見えてないことだけが救いかもね。恋心が残ったまま、意中の人と糸がつながっていないことを知るのは嫌だもんね。」
「そうだねー!」「ほんとだよー・・・」
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