転校生登場!?
(ほとんど合ってないけど)何とか宿題を終わらせたところで、担任の先生が教室に入ってきた。生真面目な女性の先生だけど、生徒に丁寧に接してくれるやさしい先生だから、みんなから結構好かれている。先生が教壇に立ってホームルームがおもむろに始まる。ちなみに教壇に上がるときに週一回はこけるあたり意外にもドジな人だ。
「みなさんおはようございます。今日は先日言っていた通り、転校生の人がいます。これから紹介するので、皆さんぜひ仲良くしてあげてください。それでは、新浜さん。入ってきて挨拶してください。」
先生がそう言うとガラガラと音がして転校生の人が入ってくる。その瞬間全員が息をのむ音が聞こえるようだった。腰くらいまで伸びたストレートの長い黒髪。何かのアプリで写真を撮ったのかなというほど大きい目。女優かと思ってしまうほどのスタイル。そう、超絶美人だったのだ。今までに見たことがないくらいの美人。いつもわいわいふざけてる男子が「かわいい」とつぶやくことすらできないくらいに圧倒的に美しい人だった。幼馴染の美咲もクラスの男子からかわいいと人気だけど、笑顔が似合う美咲とはタイプが違って、立ち姿がクールで美しいタイプの人だった。
まもなく、彼女が壇上に立って自己紹介を始めた。
「皆さん初めまして。今日からこのクラスでお世話になる新浜蘭と言います。皆さんと仲良くなりたいです。よろしくお願いします。」
ぱちぱちと遅れて拍手が聞こえる。そうしてクラスのみんな口々に席が近い人と話し始める。男子からは「やっば、めっちゃ美人なんだけど!俺告白しようかな」「バカ言え、相手にされるわけないだろ」という声が。女子からは「超美人なんだけど!ホームルーム終わったらすぐ話に行こう!」「メイクとか教えてくれるかな?」という声が。かなりの美人だけあってみんなから注目を浴びているようだ。
ほかのみんなが興奮しながら話している間、僕は彼女から目が離せなかった。でもそれはきれいな顔にひきつけられていたわけじゃない。断じて違うのだ。僕が凝視していたのは彼女の薬指。そう、彼女の薬指にも赤い糸が巻き付いていたのだ。そして、その赤い糸を目でたどっていくと、僕の左手の薬指に巻き付いている糸に目がいった。そう、なんと彼女と僕の左手の薬指が赤い糸でつながれていたのだ。彼女もやはりほかの人と同様赤い糸など見えていない様子で、一切僕のほうは見ない。
この赤い糸は一体どういう意味なんだ。気になって仕方がない。これから僕の日常はどう変わっていくのだろうか。僕がそんなことを考えているとはつゆ知らず、先生は話を続ける。
「新浜さんの席は、昨日教えた通り後ろのほうの席です。えっと、そう!今手を振ってくれている朝比奈美咲さんの隣の席です。みなさん仲良くしてあげてくださいね。皆さんは高校1年生ですし、勉強ももちろん大事ですが、遊ぶことも大切だと思っています。ぜひメリハリつけて楽しんでください。」
そういう発言が出る当たりこの先生は生徒思いの人だし、だからこそ生徒に好かれる先生なのだろう。
先生の話が終わって、新浜さんは席に着いた。教室は相変わらずわいわいうるさいが、新浜さんが隣の席の美咲と話し始めると、みんな気になるのか教室は少し静かになった。僕は一番離れてる席だから声は全然聞こえてこないが、美咲は何か焦っている顔をしているようだった。どうしたんだろう、美咲らしくもない。初対面の人とでも仲良く話せるくらいにコミュ強なやつなのに。まあ、美咲も新浜さんが美人過ぎて緊張しているのだろう。
それより僕が気になるのは、新浜さんと今朝から見え始めた赤い糸でつながっていたことだ。この糸は本当にどういう意味なんだろう。相変わらず分からないままだ。左手の薬指を眺めていると、左後ろのほうから視線を感じて思わずそちらを向く。すると、美咲が悲しそうな顔で僕のほうを見ていた。本当にどうしたんだろう、美咲はやっぱり今日体調が悪いのかもしれない。今日は始業式で午前中だから、あいつには無理しないように言っておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます