第200話


「様子見ていく?って聞いてもね、『いえ、大丈夫です……まやちゃんは今、俺に会いたくないだろうから、元気になってくれたらそれでいいんです』──だって。マヤの彼氏かって冗談で言ったら『まやちゃんのバイト先の、常連です!』って悲しそうに笑うの。『まやちゃんには陸君がついてるから大丈夫ですよね。でもやっぱり心配で……ご迷惑おかけしてすみません』とも言ってたわ。あんた、神永君って子に随分愛されてるのねえ……」



 ……ばかじゃないの。


 私に会いもしないのに家にまで来て、ストーカーかっつうの。



 馬鹿だと笑っちゃいたいはずなのに、私の目にはどんどん涙が溜まっていく。



 ……あんたは私の『彼氏』じゃなかったの?



 なにが常連よ。

 そりゃ間違ってないけど、そこまで格下げされちゃったわけ?



 俯いてしまった私を見てなにか感じ取ったのか


「きっと、今日も来るわよ。……会って、顔でも見せてあげたら?」


 と声をかけてくれるお母さん。



 その優しい声に目からはポロリと滴が零れた。

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