第152話


「ほんとに、俺でいいの……??」


 彼らしくない、弱気な言葉に思わず笑ってしまう。


「……信じてもいいよね?絶対幸せにしてくれるって。じゃなきゃ許さないから──凛」


 耳まで真っ赤になり、両手で顔を隠しうずくまる凛。


「う~~~~~!!まやちゃん~~~~~」


 ……どうやら、彼は泣いているようだ。



 泣き虫な彼も、想いを伝えた途端愛おしく感じてしまうのはなんでなんだろう。


「おっれ、ど、しよ……」


 彼と同じ目線になるように私もしゃがみこむ。


「……そんな、泣くこと?」


 彼の顔を覆った手をはずすと──まじで、泣いてるし。


「だって……俺、ほんと幸せすぎて……夢だったらどーしよ~!!」


 ──ほんと、夢オチなんて洒落にならないから。



 がばっと立ち上がったかと思ったら

「ね、まやちゃん。俺を一回殴って!!」

 そう言われたので平手打ちする。


 お、クリーンヒット。


「ちょ、そんなにガチで叩く!!?」


 いや、あんたが叩けって言ったんじゃん。


「そんなまやちゃんも好きだけどね!!!」


 ──はいはい。



 明日からまた大騒ぎだな、こりゃ。

 どーせ、黙ってないでしょ、この男は。



 へらっと笑う凛になんか少しイラッとしたから──ネクタイを掴んで引っ張ると


私から、キスをした。

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