第144話
「西川君……?」
薄暗くてわかりにくいけど、ひょろっとしたシルエットと聞き覚えのある声。
「はあ??なんだよお前!!てか鍵は?」
先ほど怒りを向けていた中の一人──西川君が登場したことがさらに男を刺激したようだった。
でも、そんな怒鳴り声に怯むことなく淡々と答える西川君はさすがだ。
「いや、俺最初からいたんで。女子に追いかけられてここに隠れてましたから」
そう西川君が指さすのは教壇。どうやらその中に隠れていたらしい。
……さすがモテ男。
目の前の男も、西川君の言葉が嫌味に聞こえたのかチッと舌打ちをする。
要するにただの妬み。
「邪魔すんなよ、さっさと行け!!!!」
この男の意識は完全に西川君に向いていて、込められた腕の力は少し弱まっていた。
だけど抜け出すにはまだきつい。
「俺は、あんたに警告してんの。知らねえよ?あんた死ぬかもね」
西川君がそう言い、私たちに向けて見せたのは薄暗いこの部屋を明るく照らすスマホの画面。
そしてそのメッセージ画面を読む間もなく──勢いよく開く教室のドア。
瞬時に誰かが入ってきて、私の上に乗っている男を殴り飛ばしたと思ったら胸ぐらを掴んで馬乗りになる。
それが神永君だとわかるまで、少し時間がかかった。
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