第141話


「俺が毎日一緒に帰ったらいい話でしょ??」


 きょとん、とする神永君。

 当たり前のように言ってるけど……。


「部活の助っ人は??」

 ──そう、彼はいろんな部活から助っ人の依頼が入っていて、予約でいっぱいのはず。

 私に割く時間なんてないでしょ??


 だけど神永君は意味のわからない、という表情をする。


 ──こっちのが意味わかんねえよ!!


「え???そんなの断るに決まってるじゃん!!まやちゃんが第一!!俺にとってまやちゃん以上の優先順位なんてないんだけど!!!」



 ……普通の人が言おうもんなら、ふざけているとしか思えない言葉。

 だけど彼の表情はとても真剣で。


「まあ、まやちゃんがどーしても陸のがいいって言うんなら……。陸を待っててもいいと思う、けど……」


 そう自分で言っておいてしゅん……とする彼に、思わず笑ってしまった。


「別に、そんなこと思ってないし。神永君が、遠回りになってもいいなら……お願い、してもいい??」


 って言っても、バイト帰りはいつも有無を言わさず送ってもらってる(ついてきてる)から、今更感は否めないんだけどね。


 礼儀として一応聞くと、あっという間にキラキラする瞳。……単純だな、ほんと。


 扱いやすすぎてビックリだわ。


「当たり前でしょ。すきな子、守らないでどーすんの!!!!」


 満面の笑みでそう言う神永君は、いつも以上に眩しかった。

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