球技大会
第133話
やって来ました、球技大会。
「まやちゃーーん!!見ててね!!まやちゃんのためにゴール決めるよ!!」
「いいから前見ろ、このおバカ」
試合開始直前、いつ見つけたのか……応援する生徒たちの中から迷うことなく私だけを一直線に見つめる彼。
大きく振った手と、恥ずかしげもなく叫んだ声にはもう慣れた周りの人もスルーだ。
もう神永君以外のメンバーは位置についているというのに、空気の読めない彼はお構いなし。
私の一言でルンルンとスキップでスタンバイする彼はこれからバスケの試合らしい。
私はバレーに出場するけど、うちのクラスはサッカーに気合を入れているから他の種目は手を抜いてもいいという暗黙の了解が。
だから敵チームの偵察とかウォーミングアップとか必要ない。
とりあえず暇だったから、うちのクラスが試合をする男子バスケを見に来たのはいいんだけど。
──相手のチームがまさか神永君のクラスだったなんて。
「どっちの応援するの?マヤ」
ニヤニヤと聞いてくる愛子。
「いやうちのクラスでしょ、普通に考えて」
と答えると、何故かもう遠く離れてコートの中心にいる神永君がバッとこっちを見る。
──そして口パクで「お、れ、でしょ!?」って言うから怖い。怖すぎる。
ここから愛子との会話が聞こえてたってこと?
──恐るべし、地獄耳。
もうあいつはプロのストーカーだ。
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