第132話
「──あ、そーだ!!!!言い忘れてたんだけど」
いきなり立ち止まって私の顔を覗きこむ彼。
その整った顔立ちが突然目の前に現れるから、耐性もくそもない。頭がくらくらした。
そしてそんなことなんて露知らず、神永君が切り出した話題はあんまり思い出したくないことだった。
「まやちゃんがこの間、ヤキモチを妬いてくれた日にね!!女の子と楽しそうに喋ってたって言ってたじゃん!?誤解されたくないから言うけど、まやちゃんの話してたんだよ?」
……だからヤキモチとか言うなって!!!
思い出したくないんだよ!!!
その羞恥心に耐えるように唇を噛みしめると、また神永君に
「それ俺以外に禁止のやつ!」
って念押しされた。
「……私の話って、どーいうこと?」
さっきの聞き捨てならない言葉。
「私の話」だと??
嫌な予感しかしないんだけど。
「まやちゃんの机でお昼寝しようと思ってたのに勝手に話しかけてきてね。『麻井さんってどんな人なの?』って聞かれたからさ。可愛くてカッコよくって笑顔が素敵で大好きな人なんだって言ったの!!!そしたら『どんだけ溺愛してるの』って笑われちゃった。だから俺もまやちゃんにお願いされたら何でもしちゃう!!!って言ったの。楽しかったのはまやちゃんの話して、まやちゃんのこと思い浮かべてたから。……正直、あの子の名前も知らないし、顔も覚えてないんだよね……だから安心して??」
……神永君はやっぱり神永君だね。いろんな意味で。
……安心して?だと?
ドヤ顔で言うなよ。
いい加減、その公開処刑ヤメろって!!!!!!
──だけど、まあ。
今日は気分がいいから許してやる。
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