第114話


 俺が幸せにするんだって


 マヤとずっと一緒にいるんだって


 信じて疑わなかった未来。



 俺にとっての女の子はいつもマヤ一人だった。



 あいつと歩いてきた17年間は本当に幸せなもので、隣にあいつがいるだけで俺は満たされるんだ。




 マヤの好きな場所

 歌手、ドラマ

 漫画、お笑い番組。


 嫌いな食べ物、

 科目、スポーツ、服の素材。



 春には花粉症でいつも苦しんでること。


 夏はいつもダイエットに失敗してること。


 秋の紅葉が大好きで散歩に行きたがること。


 冬にはこたつでアイスを食べること。



 お風呂上がりや部屋着

 家でしかつけないメガネ

 寝顔



 ──全部全部

 俺だけが知っているはずだったのに。



 これからも、俺だけが知っていればいいと思っていたのに。



 いつか、俺以外が知るときが来るかもしれないなんて


 ──思ってもみなかったよ。




 マヤにとって俺はどんな存在だった??



 マヤにとって少しでも心の拠り所になるような


 そんな存在だったらいいと思うよ。




 俺の

 世界でいちばん可愛くて

 世界でいちばんほっとけなくて

 世界でいちばん守りたい


 かけがえのない大切な幼馴染。



 ──好きだよ。

 大好きだ。




 いつか来る、お前が俺を必要としなくなる日まで


 涙を拭く役目が終わる、その日まで。




 ──幼馴染という特権はまだ、奪わないでほしいと思う。

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