第113話


「──それでもさ、まやちゃんのこと誰よりも好きな自信あるし、これからもその気持ちが揺らぐことなんてないって誓える。陸君がまやちゃんを想う気持ちも全部ひっくるめて……まやちゃんのこと、すごく愛おしく思うんだ」



「いつか、まやちゃんをくださいって──そう、言いに行くつもりだから……覚悟、しといて」



 ──マヤ、お前が選ぶ男はいつもダメ男だったよな。


「……俺は、マヤの事諦める気なんてない」


 だけど


「……うん」


 神永は

 この男は


「だけど──お前なら、マヤのこと任せても、いい、かもしれない」



 神永の動きが止まって、信じられないという顔で俺を見る。


「え……」


「すんげー、嫌だよ。嫌に決まってる。……でも、さ。マヤはこの先も俺の事恋愛対象になんて見ないと思う。俺が一生そばにいて、守ってやりたいけど──マヤに、本当に好きな男ができて、俺の役目が終わるときがきて──マヤが、本当に幸せそうに笑いかける相手ができたとしたら……その相手が、お前だったらいいとは、思う」



 神永の目が潤むのがわかって、なんだか俺まで泣きそうになる。


「勘違いすんなよ……俺は、マヤの幸せが一番なんだ。お前ならマヤの事、誰よりも大事にしてくれるって思ったから……」

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