第44話
「──あ、みつけた……」
何度か場所を移動しながら、探し続けた私。やっとのことで見つけた四つ葉のクローバーをそっと摘むと、立ちあがった。
立ちあがって気付く腰と首の痛み。ずっと同じ体勢だったから無理もないけど。腰を伸ばし、首を軽く回すと同じように四つ葉を探してるはずの彼のもとへと報告へ行く。
神永君は最初にいた場所からほとんど動くことなく座っている。彼らしい大げさな歓声は聞こえてこなかったからきっとまだ見つかっていないんだと思う。
先に見つけられたことに優越感をもちながら神永君に
「見つけたよ、神永君!!」
そう背後から声をかけた。
だけど神永君は私の声に反応しない。不思議に思って彼の前に回り込んだ。
神永君は四つ葉のクローバーを探している様子もなく一生懸命に手元を動かしている。
あんたが競争って言ったんでしょ……。
眉をひそめながらもう一度神永君に声をかけようと口を開いた瞬間
「でーきた!!」
彼の嬉々とした声。
──「見つけた」じゃなくて「できた」っておかしくない?
神永君はそんな怪訝そうな私の顔なんて見えていないかのように、満面の笑みで駆け寄ってきてふわりと頭に何かを乗せられる。
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