第7話


 ラインを交換し終えると、こいつはすごく嬉しそうにスマホの画面を頬ずりしていて。正直気持ち悪いんだけど。


「わ~!!まやちゃんの連絡先……!!俺、今日眠れるかな!?」


 なんて大げさな……と呆れていると、大きな目が私を覗きこむ。


「連絡、してもいい??」


 ……そんな不安そうに聞かなくても。思わず笑ってしまった。


「用があるなら、別にいいけど。返すかどうかは分かんないから」


 そう言うと、彼は目を見開いて固まる。


「ほんと?ほんとに??……ぐすっ」


 ──え!?ちょっとまってなんで半泣きなの!?


 彼の綺麗な顔が歪んで、必死に涙をこらえている姿がなんだか可愛い。

 これぞイケメンマジック。


「なんで泣くわけ!?」

 急に泣かれたら焦るわ!!お前、男だろ!!?


「だってえ~……まやちゃん笑ってくれるし、連絡してもいいって言うし……なんだかんだ隣、歩かせてくれるし~!!」



 ……いやいやいや。私そんな冷酷な人間じゃないし!!こいつ私のこと好きなんじゃないの!!?どんな奴だと思ってたの!?


 私だって人並みに笑うし、連絡先交換しといて「連絡してくるな」とか言わないし。隣歩かせてくれるって──あんたが勝手に歩いてんでしょ!?許可した覚えはないんだけど!!


 ……まあ、なんかよくわかんないけど、こんだけ喜んでるんだから……。


「ばーか」

 ちょっとぐらい、仲良くなってあげてもいいかなって。

 またくすりと笑ったら、顔を隠して照れ始める男。


「無理~~~!!!まやちゃん、好きすぎる~!!ドキドキしすぎて俺死んじゃうかも!!」


 いや、だから大げさな。こいつの胸キュンポイントどうなってるの??


 さっきまで可愛らしかったのに、また私をドン引きさせる。


 こいつのギャップ……。



 ──ほんと、調子狂うんだけど。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る