第20話 内田ユウ6 潜入

 キスタに行って第二第三の隊長に報告する。

特異個体ワーウルフがでたことはもう知っているようだった。

アール、佐々木はワーウルフが持ち去り行方不明。

ワーウルフがおかむーだと転生者だという話は伏せた。

余計な混乱を生む。


アナディル奪還は突如現れたワーウルフにより失敗に終わった。

俺が兄弟分のワーウルフを殺したせいで怒り狂った。

たぶんそういうことだろう。


国に戻った俺はシャド隊長に報告した。

今度は全てを。洗いざらい。

すんなり受け入れてくれた。

というか見ていたらしい。

あの状況で敵前に出ていくな。そのうち死ぬぞ。

と釘を刺された。

冷静だがこの人は優しい。



俺に与えられた仕事は子をなすことだった。

しかし、俺には子供が望めない事がのちにわかった。


俺の転移特典の固有スキルは「環境完全適応」

熱かろうが寒かろうが平気。

ついでに火、炎、氷魔法無効


様々な毒に侵された俺の身体は、毒と共存する体になることで

生きられる体に変化し適応したらしい。

生殖能力を失って。


試しに唾液をスプーンに乗せたらスプーンがとけた。

おしっこで便所の壁に穴が開いた。


鑑定士に鑑定してもらったら

スキル毒手 毒撃ち 毒射ち 毒打ち、毒劇物無効 毒斬り、毒霧、麻痺手、麻痺打ち

称号 毒術師、麻痺毒師 など色々獲得していた。

 


次の仕事は海を渡り、貿易の島国「オース」に渡り各国の情報を得ることだった。

商人としてまぎれこみ溶け込む。

国のドワーフがうち、

神谷が「銘打ち」で強化した刀剣の類を持ち込んだ。

自国で使わないような失敗作だが、

ダンジョンアイテムと偽って高値で売りさばく。

飛ぶように売れた。すごいぞ神谷。



そして得た金で本物のダンジョンアイテムを買い自国へ送る。

神谷の銘打ちしたメガネ「真贋一重」は本物と偽物を見抜く。

こいつドラえぬんかよ。


そしてメインイベント。

競り。

競売にかけられるのは珍しい生き物、食器、タンス、武器、魔物、奴隷など。



自国に利益のありそうなものは手に入れる。


俺がだすのは勿論、神谷大先生の贋作。

刀、鎧に兜。

どの国も武器になるダンジョン魔道具は高値を付ける。

間違いなく今回の目玉になるはずだ。

目玉商品の取り扱いは最後と相場が決まっている。

ところが今回の出品一覧の順番は最後は大先生の商品ではなかった。



ズージェリア王国

クロック商店からの出品 初代魔王の腰刀

氷刀「赤羽」



赤羽?



まさかとは思うが最後に出品されたそれは間違いなく本物だった。

全財産をはたくつもりで入札したが敵わず

それはどこの馬の骨とも知らん金持ち冒険者が落札した。


暗殺してでも奪い取る。

オークション後、落札者を追ったが見事にまかれた。


落札者の名前は「冒険者 ショウ」


それ以降、そいつの消息は不明だ。*

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