第19話 内田ユウ5 白銀のワーウルフ
ワーウルフ戦からその場で倒れこみずいぶん経ってしまったようだ。
毒をうたれた体をしっかり休めてからクラールウッドへ向かう。
ちょっと傷をつけられすぎた。
体は万全じゃない。
腕も足も腹も血が止まらない。
ゆっくりと血液が流れていく
そんなに傷は深くない。
おそらく血の凝固を妨げるような効果のある攻撃を受けたのだ。
起きてすぐ5体のワーウルフから魔道具をしっかり回収した。
最後の2体はディザスターで吹き飛ばしたから魔道具を回収できなかった。
ハイウルフの死体は丘の下。崖を転がってどこかに行ってしまった。
魔道具は国の鑑定士にまかせればどれだけの価値のあるダンジョンアイテムか分かるだろう。
あ、そういえばディザスター消えてる。良かった。
クラールウッドへ付く。
クラールウッドは先ほどと違ってなにか変だ。
静まり返っている。
血。血が続いている。
クラールの方へ。
もみくちゃにされた魔物の死体。
もとの形がわからないほどに。
クラールが見えてくる。
クラールの村外周をぐるっと一周するような鏡。
なにが起きている?
クラール方面から爆発音。
おそらく村入り口付近。
茂みに身を隠す。
「ほわっっっっ」「おおおうう」
茂みには先にヨルが隠れていた。
「同じ茂みを選ぶとはな。腕を上げたな。全く気配を感じなかったぞ。」
おおおううとか言っちゃったけど冷静さをアピール
「先輩こそ全く気配なく入ってこないでください」
ヨルは元気そうだ。
「シャド隊長は?」
「クラール方面に単身乗り込むみたいです。待機命令です。」
村方面から2度目の爆発音
「何が起きている!?無事か確かめないと」
「先輩よくみたらボロボロじゃないですか。私も行きます。というか置いてかないでください」
ヨルとクラール入り口へ。
そこには第一のアール隊長と副隊長佐々木アキラがいた。
白銀たてがみののワーウルフと戦闘をしている。
いや、もうすでに勝負はついている。
「総員退却!」
副隊長命令とともに三度目の爆発が起きる。
こいつが親玉か。ダメだ。さっきのやつらとは次元が違う。
ヨルにキスタに迎えと指示を出す。
キスタにいるやつらに伝えなきゃまずい。
「先輩は!?」
「シャド隊長がこのへんのどっかにいるんだろ?
じゃあ大丈夫だ。2人でなんとかする。いけ!」
爆煙にまぎれヨルが走り出した。
佐々木が斬りあげられ吹っ飛ぶ。
「あれ。今度は佐々木くんだ。」
ワーウルフは確かにそういった。
日本語で。
いや覚えがある。
この声に。
誰だ。
このワーウルフとやり合う必要はない。
「おかむー?」
俺は茂みからでていった。
佐々木が殺されちまう。
「ああ、うっちー。久しぶりだね」
「頼む、アール隊長と佐々木を見逃してくれ」
「ダメだよ。うっちーは俺の兄弟を殺したんだから。
それにさっき山でうっちーのことは見逃してあげたし。」
倒れた後か。
「ああ、もう内田君だね。
仲良くはできないや。
でも2人ともいい匂いがするんだよなあ。
小林さんの」
アール隊長と佐々木を担ぎ上げる。
「追ってこないでね」
そのままクラールの鏡の中へと消えていった。
俺はしばらく鏡をながめたのち
キスタへと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます