第18話 内田ユウ4 ワーウルフ

 ワーウルフは知性が高く人間の武器を扱うことがある。



そうシャド隊長に聞いていた。

これは明らかに話が違う。

一匹のワーウルフが俺に打ち込んだのは爪。


奴の太い爪の先を飛ばしてきた。

魔法で。


同じ風魔法の使い手だから分かる。

自分の爪を風魔法で切って風魔法で飛ばした。



一瞬で。

狙いを付けて。

俺の機動力をそぐために。



こんな小さく威力の高い魔法を行うなんて。

しかもたぶん麻痺性か毒性のある物でもつけたか。

足がしびれる。



装備もなにかおかしい。

エルフの弓、腰刀に魔道具か?指輪のような物を付けている。

火を使って調理していたような形跡、調理器具。


そうかこれがダンジョンアイテムってやつか。



危険度があがった。

こいつらは生かしておいたらまずい。




最初にハイウルフがとびかかってくると

他6匹のワーウルフは一斉に俺に遠距離魔法を放ってきた。





火、炎、氷、雷、地、風


ハイウルフもろともやるとは。


地属性で足を地面に引きずり込まれた。

クモをはめたやつか。

岩雪崩を起こしたのもこいつだな。



避けられない、が、この程度か。


雷を切る。

この小刀は「雷切」

まあそういうことだ。


風魔法は自分の風魔法と相殺する。



火と炎と氷は俺には効かない。

氷で身体が固まるのがちょっと嫌かな。その程度。


足元から風魔法を放つ。


周囲の地面ごと消し飛ぶ。


ハイウルフは燃えたり切られたり雷を

撃たれたりして勝手に倒れている。

俺の風で丘の下へと吹き飛んでいった。



自分の太もも付近に意識を集中させる。

うん。しびれもとれた。



風魔法でさらにスピードアップした体で突っ込む。


魔物ごときに対応できるスピードじゃない。

一太刀で首を落とす。これで最初のワーと自滅のハイで3匹目。


次も一太刀と思ったら意外と対応してくる。

腕を上げカウンターの構えをしている。


だが遅い。4匹目


5匹目は弓をかまえる。

俺より遅い武器とか意味ないでしょ。

と思って突っ込んだところを

6匹目が雷を纏ったグーパンチか。

雷の肉体強化か。まあまあ早いな。

しかも釣ってくる。

風魔法で一撃ずつで真っ二つ。



7匹目は逃げ一択か。

一番弱い火魔法つかってきたやつ。

風魔法はMPの無駄使いだな。

追って一撃。


と思いきや8匹目が地面から出てきた。

また釣られたか。

ちょっと爪が腹にかすった。

また毒攻撃。


と見せかけて7匹目が戻ってきて後ろから攻撃してくる。

その程度のスピードじゃあね。

と思ったら正面からもひっかき攻撃。


前のも後ろのも避けきれない攻撃を混ぜてくる。

すこしずつ肉体が削がれていく。

組みつかれたら結構強いな。


大股を開いた後ろのワーウルフの股をすり抜け空中に浮遊する。

地上の2体を見下ろしながら攻撃する。


嵐魔法LV4「ディザスター」



小規模の台風。

7匹目はガードの姿勢。

8匹目は地面にもぐる。

手のひらを向けた山の一面がはがれていく。


多少潜ったところでかわし切れないだろう。


岩が地面が土が舞い上がる。




地上に降り一息つく。

「くそ、MPを使いすぎた。敵は撃ったぞクモ」



しばらく休んでからクラールウッドに回り込みクラールへ向かおう。


起こした嵐が夕日を遮る。

これエルフの森に向かってるな。

森に阻まれていい感じに嵐が弱まるといいな。


そう思う内田であった。

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