不幸な生い立ちにより、いわゆる不良としての人生を送っていた少女が、事故により不思議な世界へと引き込まれ、ゴスロリ風アリス服で大鎌振り回して不思議の国の住人皆殺しにするお話。
異能バトルものの異世界ファンタジーです。あるいは、血みどろヒャッハーなバイオレンス作品。
とはいえ、そこまでグロテスクな表現があるわけではなく、また狂った世界ではあっても主人公はしっかり正気を保っていますので、「皆殺し」という語の印象ほどダークな物語ではありません。しんどい感じやストレスは(少なくともバトルものとしての部分では)少なく、楽しく軽快なバイオレンスを提供してくれます。
主人公の性格、というかヤンキーっぽいところが好きです。「登場人物全員と殺し合う」という状況に、スッと適応できてしまうのはやっぱり不良ならでは。でも首刎ね自体にはそれなりの抵抗感があったりするところ。いろいろ狂った世界にあって、彼女の垣間見せる常識人っぽいところに、自然と共感させられる感覚が楽しいです。
でもなにより魅力的なのは、やっぱりストーリー。ネタバレになるので詳細は伏せますが、単に激しい殺し合いだけにはとどまらない、しっかりした読後感の嬉しい作品でした。