相合い傘

そんな事を思い出しながら、水樹は誠也の横に座っていた。

『次は終点、向日葵の里』

アナウンスが流れた。

もう着いたのと思った誠也、もう少し並んで座って居たかった、バスが揺れる度に、二人の距離は近くなっていたのに、そんな事を思っても可笑しくない年の頃の誠也。

二人はバスを降りた...

花の甘い香り、そして夏の日差しが二人を照らしている。

『ここだね....』

二人は少し歩いて向日葵畑に

夏休み、沢山の人、そして売店、カフェあの時と変わっていなかったが、向日葵畑が少し小さくなって見えた。

『向日葵畑、こんなにせまかったかな?』

水樹を見て

『変わっていないけど....』

笑いながら

『だって、私達が大人になったから小さく見えるだけだよ』

そう言うと水樹は誠也の右手を、軽く触れてからゆっくり握って

『早く、向日葵畑の中に行こう』

誠也を引っ張る様に花畑に...そしてあの時はこんな感じだったかな、少し膝を曲げて背を小さくなり誠也を見た。

あの時、全然変わっていないなと思いながら向日葵畑の中に、誠也も膝をかがめた。

『これじゃ...私の姿見えないネ

水樹は、ひまわりを下から見上げながら。

二人は花畑で背より高い向日葵畑の中で隠れんぼをしていて向日葵の背が高く、水樹の姿を見つけられなかった。

『でも、今は...』

誠也は立ち上がり

『水樹の事、もう見失わないよ』

『誠也君って、大げさだよ』

そう言うと

『早く....』

誠也の手を引いて、向日葵のストラップの買った売店に...

黄色の壁の小さなお店だった。

中に入った二人....

愛想の良さそうな、誠也達と同じぐらいの女の子が『いらっしゃいませ...』大きな声が店内に響いた...

『同じの、まだあるよ』

誠也はストラップを見て、水樹の手を引いて見せた。

『本当....』

水樹はスマホを手にして、自分のストラップを見て

『誠也君、新しいの買おうか?』

『そうだな...』

でも、今持っているストラップには、相合い傘が書かれているからと思い、少し迷っていると

『今度は、誠也、水樹と書こうか?』

顔を少し赤らめて水樹が

『どっちでも、いいよ』

誠也も顔が熱くなったのがわかった。

『照れてる...』

水樹は、誠也の顔を覗き込んで

『照れてなんていないよ』

誠也は、ストラップを手にして

レジの所に

あっ、あの時のおばあちゃんが

店の奥に、おばあちゃんのレジが

椅子に座っているのに気づいて、おばあちゃんのいるレジの方に行こうとしたが

『誠也....こっちだよ』

水樹は、もう1つのレジの方に誠也の手を引っ張り連れて行った。

おばあちゃんの方のレジに行きたかったなと思ったが、強引に違うレジだった。

あと時、おばあちゃんが

『おばあちゃんのレジは幸せのレジなんだよ』

そう言ったのを思い出していた。

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ひまわり 大西洋一 @830e

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