冒険者パーティーとしてクエストへ向かう

 俺とエアリスは冒険者パーティーを結成した。これが俺の、いや、俺達の新しい船出であった。


 俺達は近くにある街『ミルティア』の冒険者ギルドを訪れる。


「いらっしゃいませ! ミルティアの冒険者ギルドへようこそ!」


 受付嬢の快活な声が聞こえてくる。


「冒険者パーティーとして登録をしたいのですが」


 エアリスは受付嬢に話かけた。


「はい。新規のパーティーとして結成される場合、Eランクの冒険者パーティーとしてのスタートになりますがよろしいでしょうか? 実績に応じてパーティーのランクが昇格していく仕組みです」


 受付嬢はそう説明した。


「このお方、ルイド様は大変特別な付与魔術師【エンチャンター】です。そのお方がEランクのクエストから始めるのでは些か簡単すぎるようにも思うのですが」


 エアリスは言った。一人でドラゴンと渡り合えるエアリスも相当な実力者であるとは認識しているが。


「は、はぁ……それはもう。規則ですので」


「落ち着け、エアリス。焦る必要はない。段々と冒険者としての実績を積み重ねていけばいいじゃないか」


「そうですね……それもその通りです」


 千里の道も一歩からだ。


「それでは冒険者パーティーとして登録させて頂きます」


 俺達はパーティーとして登録された。


「早速にはなりますがクエストを受注していかれますか? クエストを受注し、クリアすると一定の報酬を受け取れますし、さらにはモンスターの素材なんかを持ち帰るとこちらの方で査定し、換金したりもできます」


「どうします? ルイド様」


 ルイド様か。仲間に対して様付けもいかがなものか。


「エアリス……俺達はもう仲間だ。様付けはやめないか?」


「滅相もありません。ルイド様。あなた様はあなたの恩人なのです。私の事は仲間だと思わず、あなた様が持つ一振りの剣だと思って頂ければ結構です」


「そうか……」


 面倒だ。拘りがあるならそれでいいだろう。いちいち相手にするのも労力だ。


「それでいかがされますか? クエストを受注されていかれますか?」


「そうだな。小手調べがしたい。どのクエストを受注するのがおすすめですか?」


「Eランクの冒険者の方にはまずはスライム退治をおすすめしています」


 スライム退治か。定番だな。


「よし。じゃあ、そのクエストを受注させてください」


「はい。ではそのクエストを受注登録してください。スライムは雑魚モンスターとして知られているモンスターですが、極まれに強力なスライムがいるので注意してくださいね」


「強力なスライム?」


「はい。キングメタルスライムと言って、とてつもない硬さのスライムなんです。その硬さはアダマンタイトすら凌ぎ、幻の金属ヒヒイロカネ級の硬さあるそうなんです」


「へー……」


「その分、その素材は高値で取引されていますので遭遇したら頑張って倒してみてくださいね」


 受付嬢は笑顔で言う。


 こうして俺達はスライム退治へと向かった。南西にある湖の近くにスライムがよく出現するらしい。そこを目指す事になる。



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