第7話 応接室④
警察の応接室。
新堂「これまでのお話を伺って、警察としても検証し直すべき点がありそうです。この文書、お預かりしてもよろしいでしょうか?」
田富「構いません。コピーはしてありますから」
新堂「ありがとうございます。早速鑑識に回しておきます」
新堂、文書を持ってハケ、預けて戻ってくる。
新堂「もう少し、お話を伺いたいんですが、お時間は大丈夫ですか?」
田富「はい」
新堂「先ほど、吉良小百合の不倫相手の妻に取材をしたとおっしゃってましたが、他にも事件関係者に取材をされているんですか?」
田富「ええ、当事者5人の親族や友人には話を聞きにいってます」
新堂「よろしければ、そのお話も聞かせてもらえますか?何か目新しい事実はありましたか?」
田富「そうですね……。例えば、当時高校生だった根間恒彦が通っていた学校に、マリファナを吸ったことを告白するメールを送っているのは覚えていますか?」
新堂「もちろんです。根間恒彦は処分を受ける前に事件が起きているので、表立った処分はされていないんですが、彼の友達の何人かは退学になったようです」
田富「はい。実はその退学になったうちの一人に話を聞いたんですが、マリファナの入手経路の話になりましてね」
新堂「何か不審な点でも?」
田富「どうもその時期に前後して、急に彼らの間で流行り始めたらしいんですよ。おかしいと思いませんか?」
新堂「つまり……この事件の犯人がそこで関与していると?」
田富「そこまでは私もわかりませんでした。でもそう仮定すると、普通の高校生である根間に、犯人自らの手で弱みを作り出してたことになります」
新堂「犯人は事件の当事者たちに犠牲を強いることにこだわりを持っていた」
田富「ええ、その背景には強い動機があるはずなんです」
新堂「しかし、その点については我々も当然調べています。ですが、事件の当事者同士のつながりさえ見つけることができなかった。あの文書にはそのことについては何も?」
田富「いえ、当事者同士のつながりという点では、確かにありました。あの文書の中にヒントがあったんです」
新堂「ヒント……何なんですか?」
田富「Twitterです」
新堂「Twitter?」
田富の意外な言葉に驚く新堂。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます