8章
8章-1
その後、彼らはこれまでの鬱屈を吹き飛ばさんばかりに海で楽しんだ。
地球防衛軍は山口が参入したことで四人となり、恵美の頭をさらに痛ませることになる(「紅一点の星野隊員、出撃だ!」「するかーっ!」)。
ビーチバレーで恵美が回転レシーブをした際に水着の肩ひもが外れてしまった(鼻の下を伸ばした男たちは、頬に季節外れの紅葉を彩ることになる)。
身体を焼いていた光一は、みんなによってたかって砂で埋められた(胸などをいやらしく成形した上で、放置プレイ)。
そんな光一の頭を、スイカ割りをしていた山口がクリーンヒットした(これまでの彼の野球人生の中でもっとも強烈な一撃だった)。
三島は女子更衣室の覗きを敢行したものの、寄りかかっていた安普請のベニヤ板の壁が割れ、中に飛び込んでしまった(そしてボコボコにされた)。
河合は海の家の全メニュー制覇という偉業を成し遂げた(「驚異のクジラ男、上陸!」と書かれた河合のポラロイド写真が海の家の壁を長らく飾ることになる)。
そして、夕陽が海の中へと沈んでゆく壮大かつ幻想的な光景を浜辺で眺め、しばしたそがれたのち、彼らは海を後にしたのだった。
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