第6話 依頼①
アルストル大陸には、大小様々な国が存在しているが、グランシエール戦争終戦後以降、主に5大王国と呼ばれる強大な力を持った5つの王国が大陸を治めていた。
「トアイード」
[エルフ]と呼ばれる整った顔立ちが多い種族の国である
長命で、知力が高いが多種族を見下す傾向があり閉鎖的で有名
「ヘイスター共和国」
5大王国唯一の中立国であり、様々な種族が暮らしている
大陸の中央部に位置することもあり、各国の貿易拠点としても有名である
「レトナーク」
[魔族]が統治する国
武人気質な者が多く、人族と見た目はさほど変わらないが、身体能力、そして圧倒的に魔術能力が高い
「ルガランド」
[ドワーフ]と呼ばれるずんぐりむっくりとした体格の種族が収める国
手先が器用で鍛冶などの産業を起こして栄えている
そして、「サイラス王国」
百を超える人族の国をまとめている人族最大の王国である。
エドは現在この国の王都にいる。
パトリシア王女は、そのサイラス王国の第2王女である。
人族であれば、その顔を知っているのは当たり前のことだった。
「え?え?どうしてこんなところにパトリシア王女が?」
そう言うエドの疑問はもっともなことだった。
人族最大の王国の王女様。
第2王女とはいえ、エドからすればこんなところにいるのは想像すらできない。
「ただの趣味だ!」
どーんという音が聞こえそうなぐらい、胸を突き出してパトリシアは答える。
「パトリシア様は、人助けが趣味なのだ」
困惑しているエドにたいして補足するように女騎士は言った。
[人助け?あれが?]
エドは余計に困惑したが、深く考えるのをやめた。
それよりも、先程の女騎士の言葉である。
「平穏な暮らしって……」
「我々の手伝いをしてくれれば、サイラス王家がお前の望みを叶えるということだ」
エドからすれば、良い提案だった。
が、その手伝いの内容次第ではどうしようかと考えていると……
「パトリシア様を守ってもらいたい」
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