第4話 出会い③

狭い路地裏に連れ込まれたエドは、壁を背にして立たされた。



「感謝しなさいよ!」



ふふんと胸を反り返らせながら紳士風少女は自慢げに言う。



「いや、俺は別に絡まれてなんかいないんですけど?」



「えっ?そうなの?辛気臭そうな顔してたから、絡まれていたのかと思ってたわ」



あっけらかんという紳士風少女にエドは深くため息をついた。



[えーーー、本気でちょっとヤバい人かも]



エドは身の危険を感じ



「では、俺はこの辺で……」



チャキ



小さい刃音がして、エドの喉元に剣先が突きつけられた。



「ひぃぃ」



「貴様只者ではないな」



低い声で、剣を突きつけてきた女騎士が言う。



「いや、俺はただの旅人ですよー」



壁伝いに後ずさりながら、エドは言うが、見た目とは裏腹にその目に怯えの色はなかった。



「私が剣を突きつけても冷静、そして酒場で男たちに囲まれていたときも、わざと無様な避け方をしていたな?」



「いやだって、剣には殺気もなかったし、男たちの動きもスローでしたよ?


 演技といえば演技ですが、ただの旅人というのは本当です。


 これも余計な出来事に巻き込まれないための処世術ですよ」



[すでに巻き込まれてるけどね]



心の声は、飲み込んでエドは本当のことを言った。


ここで変に嘘をついても、後々面倒そうな気がしたからだ。


紳士風少女は、わかっていないようでキョトンとしていた。



「まあいい、お前の素性に興味はないが、悪いやつではなさそうだ」



突きつけていた剣を仕舞いながら女剣士は言った。



「じゃあ、そろそろ……」



「まて!」



そそくさと路地を出ていこうとしたエドを女剣士は止める。



「ただ、貴様のその技量を見込んで、頼みたいことがある」

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