第13話

「王様、ご報告があります」

「何だ? ミクル」

ミクル達は謁見の間に行き、王に進言した。


「東の丘にドラゴンが出ました」

「なんだって!?」

王はそう言うと、椅子に腰掛けて深いため息をついた。


「ついにドラゴンまで現れたか」

「はい」

「ミクル達、三人で倒してくることは可能か?」

「行って見ましょう」

司が答えた。

ミクルとユーリも頷いた。


「それでは、王宮からミスリルの装備一式を持って行くが良い」

「はい」

「ユーリはドラゴンソードを装備して行くとよいだろう」

「ありがとうございます」


三人は装備を調えて、東の丘に向かった。


東の丘に着くと、ドラゴンが居た。


ユーリはドラゴンに切りつけた。

わずかに鱗に傷が付いた。

ミクルは氷魔法をドラゴンにかけた。

しかし、尻尾が少し凍っただけだった。


「司さん、補助魔法をお願いします」

「わかった」

司は魔術UPとスピードUP、攻撃力UPの呪文を唱えた。


ユーリとミクルの動きが良くなった。

「ミクル、ちょっと引け! ユーリが前に出た方が良い!!」

「私に命令しないで頂戴!!」

ミクルは司の指示を無視して炎の呪文を唱えた。


ドラゴンにファイアボールが命中した。

しかし、その傷はわずかだった。


そのとき司は閃いた。

ドラゴンに、防御力ダウンの魔法をかけてみた。

すると、ユーリの剣がドラゴンに刺さった。


「やった! 思った通りだ!!」

司はガッツポーズをした。

司は強化魔法だけでなく、弱体化魔法も使えたのだ。


そして、司はドラゴンに魔法防御ダウンの魔法をかけた。

ミクルの氷の矢がドラゴンに突き刺さった。

ドラゴンの動きが止まった瞬間、ユーリの剣がドラゴンの首をはねた。


「やった! ドラゴンを倒したぞ」

「そう言っても、土のドラゴンは最弱のドラゴン。ミニドラゴンよりは強いけどね」

ミクルは冷めた口調で言ったが、頬は紅潮していた。


三人はドラゴン退治を完了した。

王国に戻り、王に報告すると、王は今着ている装備一式を、褒美として与えた。


「やっぱり司さんの魔法はすごいですね」

「ええ、ユーリのカーバンクルは出番がなかったわね」

ミクルはユーリにそう言うと、得意げに笑った。


「それにしても、体が重いな」

司が呟くと、ユーリが言った。

「魔法の力が強いから、魔力の消費も激しいんじゃないですか?」

「ああ、魔力はどうやったら増えるんだ?」

「何度も、限界まで魔法を使っていたら増えていくと思うわ」

ミクルが司の疑問に答えた。


「私だって、最初はファイアボール一回でクタクタになったもの」

「そう言うものか・・・・・・」

ミクルの言葉に司は俯いた。

司は早く、力をつけたかった。

このままでは、ミクルとユーリの足手まといになってしまう。


「ところで、司は私に束縛の呪文はかけないの?」

ミクルは言った。

「私、人の言うことを聞くつもりはないから」

「それなら、それでいい。俺は誰かに強引に言うことを聞かせようとは思わない」

司がそう言うと、ミクルは腰に手を当てて顎を上げた。

「ふうん。変わってるね」


「そうか? それが普通だと思うが」

司の言葉にユーリが頷いた。

「ミクルさんは少し強引なところがあると思います」

「そんなの勝手でしょ!」

ミクルはぷいとそっぽを向くと、自分の部屋に帰っていった。


ユーリも用事があると言って、残されたのは司一人になった。


司はまた図書館に向かった。

前回と同じく、いろいろな本を見てみたが、余り収穫はなかった。


「これからは戦略とか陣営とかも、考えないといけないだろうな」

司は一人呟いた。

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