第12話

ミクルとユーリ、司は東の丘へミニドラゴンを倒しに向かった。

歩いて行くと半日くらいの場所だ。

東の丘への道には何もなく、ただ草原が広がっていた。


「こっちで合っているのか?」

司が聞くと、ミクルは腰に手を当てて言った。

「私が、間違うとでも言うの?」

「合ってますよ」

ユーリが言った。


道の途中でゴブリンが出たが、ミクルとユーリはあっけなく倒してしまった。

司は何も出来なかった。

「ねえ、ちょっと司にはまだ早かったんじゃない?」

ユーリがミクルに言うと、ミクルは答えた。

「一刻も早く強くなって、魔王を倒したいのよ」


「ミクルとユーリは、別々に戦ってるんだな」

司はそう言うと、ミクルが言った。

「悪い!? それぞれ誰かと違って力が強いから、協力しなくても大丈夫なのよ」

「それじゃ、この先、強い敵が現れた時に通用しないぞ」

司はミクルに言った。


「そろそろ、東の丘です」

ユーリがそう言ったとき、何かの鳴き声が聞こえた。

「ミニドラゴンが現れたわね!」

ミクルはそう言って、杖を構えた。


ユーリと司も剣を構える。

「ぎゃおん!」

人間と同じくらいのサイズのドラゴンが3匹現れた。


「行くわよ!」

ミクルは氷結の呪文を唱えた。

「司さん、おねがいします」

「わかった」

ユーリは司に攻撃力UPの魔法をかけてもらうと、凍ったミニドラゴンを剣でなぎ払った。


ミニドラゴンは、倒れなかった。

「意外としぶといわね!」

ミクルはそう言って、今度は稲妻の呪文を唱えた。

ミニドラゴンは、倒れた。


「司、あんたも攻撃しなさいよ!」

「俺は補助魔法しか使えない」

司はそう言ってから、ミクルに魔術UPの魔法をかけた。


「え。どうしたの?」

ミクルの声に、司が答える。

「前を見ろ、普通のドラゴンが居るぞ!」

「なんでここに!?」

ユーリは剣を構え直した。

司がユーリとミクルに素早さUPの魔法をかける。


「撤退しよう」

司は、そう言って来た道を戻りだした。

ユーリもそれに従った。

ミクルは舌打ちして、ユーリに続いて戦闘から離脱した。


三人は、東の丘の外れまで走って逃げた。

「なんで、ドラゴンがこんな所に居たんだ?」

ユーリがミクルに尋ねると、ミクルは首を振った。

「私に分かるわけ無いじゃない」

「とにかく、王様に報告した方が良いね」

ユーリがそう言うと、司も頷いた。


「そうね、まだドラゴンを倒すほどの力は無いしね」

ミクルは親指の爪をかみながら、悔しそうに言った。

「それじゃ、王国に戻ろう」

司たちは東の丘から、王国に向かって歩き出した。

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