1÷2=1

「あなたは誰?」

 そう聞かれるようになったのは、いつからだろう。



 私は2人になった。

 とはいえ、分身したわけでもない。元は1人だった。

 小学生の頃は友達と仲良くしてた。毎日が楽しかった。

 授業中は友達と話しながら真面目に受けて、昼休みは遊んだり、おしゃべりをして、放課後は習い事か、また、友達と遊ぶ。

 そんな毎日を過ごしていた。

 しかし、中学からは、そんな簡単にはいかなかった。

 確かに、友達もいて、小学生の頃と同様、毎日は楽しかった。

 ただ、愛想笑いが増えた。陰口をされるようになっただけ。

 それ以外は、何も変わらなかった。

 多分、この辺りから2人目が作られ始めていた。

 完全に完成したのは高校生になってから。

 愛想笑いも増え、心から笑うことが少なくなった。

 病むことも増え、鬱になった。でも、悪いことだけじゃない。

 趣味も増え、新しい友達も増えた。嫌な思いでも、楽しい思い出も増えた。

 唯一ダメだったのは、先ほども言った通り、2人目が増えただけ。

 それは人格かもしれないし、性格が変わったのかもしれない。とにかく、2人目だった。

 元の自分とは正反対。真逆の人が生まれた。それが、人生を大きく狂わせた。人付き合いが苦手になり、孤独を好むようになり、学校や家にいるのも嫌になった。

 あなたも、そんなことはないだろうか?人格が二つ、前とは性格が変わった、元の自分は何か?など。

 でも、考えてみてよ。

 例え人格や性格が変わっても、あなた自身であることには変わりない。

 違った?やっぱり別の人だった?

 そんなことないはず。あなたであることには変わりない。

 ただ、自分自身が認めてないだけ。何言ってるかわからないでしょ?

 でも、いつかわかる時もくる。例え人格が何個になろうとも、性格が180度変わろうとも、自分であることには変わりない。

 自分から逃げないで。逃げたら、負け。自分は、ただ1人なのだから。




 今でも私は、自分自身に「あなたは誰?」と問い続けている。まるで生きる意味を探すみたいに。

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