第10話 シーン28〜29
シーン28
警備員から鍵とIDカードを取り上げ、工場の中に入る3人。
恵子 「サーバーのある部屋はこっちです」
事務室や生産ラインのある廊下を抜け、サーバーの管理室まで辿り着く3人。
リュウ 「警備員の鍵が使えるのもここまでか。テルミット(高温発熱物質)を使おう」
坂上 「待て! 天井に火災報知器がある。テルミットの煙が感知されてしまうぞ!」
リュウ 「それなら、こいつの出番だ」
バッグから小型のエンジンカッターを取出し、管理室の鍵を火花を上げながら切断するリュウ。
リュウ 「・・・開いた」
管理室に入る3人。
坂上 「恵子ちゃん、サーバーのアドレス番号を教えてくれ」
恵子 「はい」
坂上にメモを渡す恵子。
坂上はズラリとならんだハードディスクの中から一台を選び、パネルを取出すと手持ちのノートPCとLAN接続する。
リュウももう一台のノートPCを取出し、接続する。
リュウ 「不用意にハッキングすると警報が鳴るぞ?」
坂上 「これから俺がもう一つのサーバーをデッチあげるから、お前はクライアントになりすまして大量の通信を始めろ。すると一瞬だが本物のサーバーに負荷がかかってこっちに助けを求めて来る。その隙にハッキングしてパスワードを解読するんだ」
薄暗い部屋で2台のノートPCにタイピングする坂上とリュウ。
恵子 「(独白)こんな事まで出来るなんて、坂上さんってどんな人なんだろう・・・?」
坂上 「よし、始める」
リュウ 「これでいいんだな?」
ノートPCのエンターキーを押すリュウ。
坂上 「来たぞ来たぞぉ~、よし、もう一度エンターを押せ!」
リュウ 「どうだ!?」
坂上 「よし、入れた!え~っと・・・、これだ!」
極秘ファイルのパスワードを入手し、ファイルをダウンロードする坂上。
坂上 「成功だ!」
恵子 「手に入ったんですか?」
坂上 「ああ、ちょっと待って。はい、これ」
極秘ファイルのコピーされたメモリーカードを恵子に渡す坂上。
坂上 「恵子ちゃん、これは言ってみれば君の命の保証だ。絶対に他人には分からない場所に隠しておくんだよ?」
恵子 「はい、身に付けて絶対離しません!」
無線機を取出し、玲子と連絡を取る坂上。
坂上 「玲子、ブツは確保した。外の様子はどうだ?」
工場が見渡せる高台から双眼鏡をのぞき込む玲子。
玲子 「東門と南門には警備員が3人立ってる。北の通用口は無人のままだから、そろそろ怪しまれそうね」
坂上 「西はどうだ?」
玲子 「今、西の警備員が巡回に出ていなくなった」
坂上 「よし、これから西の屋上へ出てロープで脱出する」
玲子 「了解。私も西に回る」
シーン29
工場の階段を上り、西の屋上へと向かう3人。
無線機に話しかける坂上。
坂上 「屋上へ出るぞ。俺達が見えるか? ・・・玲子、応答せよ、玲子?」
玲子からの応答が無い。
屋上の上空からサーチライトが3人を照らし出す。
坂上、リュウ 「何ッ!」
屋上にヘリコプターが着陸し、中から貝藤弁護士と陣内専務が降りて来る。
リュウ 「クソッ!」
腰から銃を抜いた瞬間、撃たれて倒れるリュウ。
工場の屋上に銃を持った砥賀と江藤らが3人に狙いを付けている。
恵子 「リュウさん!」
坂上 「クッ!」
と、急に両手をあげる坂上。
坂上 「これはこれは明石ハムの陣内専務さん。ようやく御社にとって貴重な戦略データを入手出来ましたよ。恵子ちゃん、今回の事は本当に感謝するよ」
恵子 「明石ハム? 坂上さん、それどう言う事?」
坂上 「あれ、知らなかった? 俺はずっと君のライバル会社の為に働いて来たんだよ。今回は君と上手く関係を持つ事が出来て、スキャンダルどころか陰謀計画の証拠まで手に入れてくれた。お手柄だよ、恵子ちゃん」
恵子 「坂上さん、まさかそんな⁉」
陣内専務の方へ歩き出す坂上。坂上を男達が取り囲む。
恵子 「坂上さん、嘘でしょ、何とか言ってよ! 坂上さん‼」
陣内専務 「さあ、恵子さん。こっちへ来たまえ。これから君と我が社の将来についてゆっくりと話し合おうじゃないか?」
恵子の両腕を砥賀と江藤が掴むと、恵子を引きずる様に連れて行く。
恵子 「イヤッ! 離して!! 坂上さん! 坂上さんッ!!」
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