第9話 シーン25〜27

シーン25


岡村ハムの品質管理室に、星野が一人残って残業をしている。


星野の携帯が鳴る。


星野 「恵子! どうしたの? あんな事があって心配してたのよ‼」

恵子 「小百合、ゴメン。なんか大変な事になっちゃって」

星野 「実は私も信じられなくて・・・。恵子の事かばってあげられなかった」

恵子 「いいのよ。実はね、小百合には黙ってたけど。あれは本当の事だったのよ」

星野 「そうだったんだ・・・。でも、きっと恵子には何か特別な事情があったんだって思ってるよ」

恵子 「ありがとう、小百合。それでね、実は小百合に大切なお願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」

星野 「大切なお願いって、何? ・・・、うん、うん、え~っ、出来るかなぁ。ちょっと待って、今アクセスしてみる」


デスクのPCから社内LANで情報を検索する星野。


星野 「探してみたけど、アクセス不可になってる。これはかなり固いブロックがかかってて無理だよ」

恵子 「じゃあ、ファイルのあるディレクトリだけでも教えてくれないかな?」

星野 「分かった。恵子の携帯のメールに送るね」

恵子 「ところで、ニュースで何か事件報道されてない?」

星野 「え、ニュース? そう言えば都内で暴力団同士の銃撃戦があったって言ってたけど」

恵子 「そう、分かった。これ以上迷惑は掛けられないから、これで切るね。ありがとう、小百合」

星野 「迷惑なんてないよ。恵子、本当に大丈夫なの?」

恵子 「うん、小百合。本当にありがとう」


シーン26


とある空き倉庫。


坂上のジープと玲子のバイクが置いてある。


襲撃に備えて装備を点検している坂上、リュウ、玲子。


恵子が携帯の通話を切り、


恵子 「極秘ファイルのありそうな場所は分かったけど、アクセスはやっぱり無理だって」

坂上 「それさえ分かればいい。あとは本拠地に侵入してサーバーのハードディスクに直接ハッキングをかける」

玲子 「工場の警備はかなり強化されている筈よ。侵入経路は?」

恵子 「北ゲートの社員通用口が一番手薄です」

リュウ 「IDカードと鍵を警備員から奪って入ろう。セキュリティは俺が解除するから、その間に坂上と玲子は警備員達を縛り上げてくれ」

玲子 「縛りね、それなら得意だわ」

恵子 「縛りなら私も得意です!」

玲子 「あら、気が合うわネ!」


キョトンと目を見つめ合う坂上とリュウ。


坂上 「で、ニュースでは何て言ってたって?」

恵子 「暴力団同士の銃撃戦だって」

坂上 「やっぱりな。情報操作はお手の物か」

リュウ 「この場所ももうバレる頃だ。そろそろ出発するぞ」

坂上 「恵子ちゃん、これが成功すれば、俺達は晴れて自由の身だ。がんばろうね」

恵子 「うん。私、負けない!」


シーン27


深夜の岡村食品東京工場。


黒いタクティカルスーツに身を包んだ坂上とリュウが通用口に忍び寄る。


ボディコン姿の恵子が警備員室に近寄って話しかける。


恵子 「すみませ~ん。道をお尋ねしたいんですけどぉ~」

警備員 「はい、どちらまでですか?」

恵子 「ここなんですぅ~」


かがみ込んで胸の谷間を見せつける恵子。


それに釘付けになる警備員。


その隙に警備員に催涙スプレーを吹きかける恵子。


警備員 「うわぁつ!」


坂上がすかさず警備員を押さえつけ、恵子と玲子がロープで縛って口をガムテープで塞ぐ。


ノートPCでセキュリティをハッキングするリュウ。


玲子 「オトコってチョロいもんね」

坂上 「男にもよるだろ!」

玲子 「私は外から監視と援護を担当するわ。気を付けてね!」

坂上、リュウ 「了解‼」

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