第8話 シーン23〜24

シーン23


ジープの助手席の恵子は、リュウが爆発の時に受けた腕の傷から血を流しているのに気が付く。


恵子 「リュウさん! 血が!!」

リュウ 「大丈夫、かすり傷だ」

坂上 「強がりはよせ。恵子ちゃん、バックパックに救急セットが入ってるから、リュウの手当を!」

恵子 「はい!」


リュウの傷を消毒し、包帯を巻く恵子。


リュウ 「それより追っ手だ。二台、いや三台」


リュウが気づく間もなく、追っ手が黒ベンツのサンルーフから身を乗り出し、H&K G36アサルトライフルで銃撃して来る。



坂上 「リュウ! 俺のバックパックの銃を使え!」


坂上のバックパックからMP5Kを取り出すと、追っ手のフロントガラスやタイヤに向けてフルオートで乱射するリュウ。


だが、特別防弾仕様車のベンツは銃弾をモノともしない。


リュウ 「防弾車か! 9mmじゃ歯が立たねえ!」


リュウはあらかじめ坂上のジープに積んであった自分のバレット・50BMG・ブルパップを取出し、ボルトを操作して初弾を装填すると、スコープ越しに追っ手のタイヤを狙い撃ちする。


「ジャキッ!! ドゴ~ンッ!

ジャキッ‼ ドゴ~ンッ!」


あまりの轟音に耳を塞ぐ恵子。


恵子 「きゃあっ!」

坂上 「よせよ! 耳が聞こえなくなるじゃねえか!」

リュウ 「そんな事言ってる場合か!?」


リュウの弾丸は追っ手のタイヤに命中し、バーストして横転、大破する。


恵子 「すごい!」


その時、玲子のバイクが高速で接近して来て、追っ手と銃撃戦を始める。


しかし片手しか使えない玲子と、両手撃ちの追っ手のアサルトライフルでは明らかに不利である。


玲子はサイドバッグから閃光弾を取出し、口でくわえたピンを抜くと、追っ手の車の開いたウィンドウに放り込む。


炸裂する閃光弾。


めくらましを食らった追っ手はコントロールを失い、反対車線に飛び出して大型トラックと正面衝突する。


リュウ 「玲子の奴、やるじゃねぇか」

坂上 「やっぱり呼んで良かったろ?」

リュウ 「口さえ開かなきゃな」


しかし、最後の一台の追っ手が執拗に攻撃して来る。


リュウのライフルが装填不良を起す。



リュウ 「チクショウ! ジャムりやがった! 安物めっ‼」


ジープからバイクの玲子にライフルの故障を手で合図するリュウ。


玲子は追っ手の弾幕を避けながらジープの横までバイクを接近させ、


玲子 「これを使って!」


と、背中に背負っていたスナイパーライフルを放り投げるが、若干コントロールを誤り、それを恵子がキャッチしてしまう。


リュウ 「オレに渡せ!」

恵子 「私にもやらせて!」

坂上、リュウ 「ええぇ~~~~⁉」

恵子 「どうやれば良いの? 教えて!」

リュウ 「両脇をしっかりしめて、ストックを肩にあてる。そう、それでスコープの十字線の中心で敵を捉えたら人差し指の先で軽く引き金を引くんだ」


恵子 「こう?」


「ドン!」


追っ手の車の左下に当たった弾痕が煙をあげる。


リュウ 「もうちょい右!」


追っ手の銃撃をかわしながら、引き金を引く恵子。


「ドン!」


追っ手の車のボンネットが火花を上げる。


リュウ 「もうちょい上!」


「ドン! ドン!」


恵子の狙撃で車から乗り出した追っ手の射手は見事に倒れる。


追っ手はあきらめて退散する。


恵子 「(ガッツポーズを取り)やったぁ~! カ・イ・カ・ン‼」

坂上 「恵子ちゃん・・・、スゴ過ぎ!」

リュウ 「いい腕してるじゃねえか?」


玲子のバイクがジープに近寄って来る。


玲子 「追っ手はまた来るわよ。何か対抗策は無いの?」

坂上 「恵子ちゃんが掴んだ情報の中に、使えそうなヤツがある」

恵子 「岡村ハムの上層部が関わった株価操作の陰謀に関する情報です」

リュウ 「なるほど、それさえ手に入ればお前達は一生安心して暮らせるだろう」

坂上 「ただしそう簡単には手に入らん。社内の極秘情報にアクセスするには、社内の人物の協力が必要だよ、恵子ちゃん」

恵子 「こんな事があった後なので話さえしてくれるかどうかわからないけど、私の親友に頼んでみます」


高速道路のランプへと向かう坂上のジープと玲子のバイク。


シーン24


都内のとある池沿いにある高級フレンチレストランの個室。


陣内専務が数人とディナーの食事をしている。


男1 「陣内さん、その情報は確かなんでしょうね?」

陣内専務 「もちろんですとも。以前にあなた方と大儲けした件も、その男に指示した工作ですから。こんなに確かな事はありませんよ。ワッハッハ」

男2 「あの時はお世話になりましたからねえ」

男3 「しかし陣内さん、これが公になれば岡村ハムは大打撃、あなたの明石ハムの売り上げと株価上昇は間違い無しだ」

陣内専務 「何しろこの大不況でしょう。このくらいの事はやらないと生き残れませんからね」

男1 「貴方も悪いお方だ。まあ、そのおかげで我々も株で一儲け出来る訳ですが」

一同 「ワッハッハ。ワッハッハッハッハ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る