第6話 シーン20〜21

シーン20


貝藤弁護士のキャデラックの車内。

貝藤弁護士と砥賀、それに砥賀の部下、江藤が話している。


砥賀 「貝藤さん、第一プランは失敗しました」

貝藤弁護士 「失敗? チームはどうした⁉」

砥賀 「おそらく全滅かと」

貝藤弁護士 「何故そんな事になった!? 精鋭の部下では無かったのか?」

砥賀 「申し訳ありません」

貝藤弁護士 「女一人に何をてこずっている‼」

砥賀 「詳しくは不明ですが、海外で戦闘経験がある男が女を手助けしている様です」

貝藤弁護士 「何故そんな者が今回の一件に?」

江藤 「調査によると、その坂上と言うジャーナリストは、かなり以前から恵子と関わりを持っていたとの情報も」

貝藤弁護士 「ジャーナリスト・・・? 企業スパイでは無いのか?」

江藤 「その可能性もあるかと」

貝藤弁護士 「と言う事は・・・。これは美味しい話になるかもな」

砥賀 「は?」

貝藤弁護士 「何でも無い。お前達の派手な失敗は私が上手く処理しておくから、その二人をいつでも始末出来る様に準備をしておけ。ただし指示があるまでは絶対に手を出すなよ!」

砥賀 「分かりました」



貝藤弁護士のキャデラックを降りる砥賀と江藤。


携帯電話をかける貝藤弁護士。


貝藤弁護士 「もしもし? あ~陣内さん。その節は大変お世話になりまして。いやいやこちらこそ。ところで陣内さん? 実は、また明石ハム様に大変有益なお話がありまして・・・」


シーン21


郊外のラブホテル。

恵子と坂上が休んでいる。


恵子 「それにしても、こんな事になるなんて..」

坂上 「実はね、恵子ちゃんみたいにOLしながらアダルトのバイトしているコって、結構沢山いるんだよね」

恵子 「そうは聞きますけど・・」

坂上 「一説には30万人くらいの女性が、無名の素人AV女優をやっているとも言われてるんだって。だから、勤めている会社にバレるケースも少なく無いんだよね。その中には、恵子ちゃんが受けたみたいなセクハラされて泣き寝入りしている子も大勢いると思うよ」

恵子 「でも、私どうしても許せなかった! 私はお金で身体を売ってる事はあるけど、心だけは絶対に売れないもん‼」


恵子をしばらく見つめる坂上。


坂上 「そうだね。でも、そんな恵子ちゃんをアイツらは汚い手を使って殺そうとして来た。さっきも言ったけど、恵子ちゃんをこんな事に巻き込んだ責任は俺にもある。だからどんな事があっても、俺は恵子ちゃんを守る為に戦うよ」

恵子 「坂上さん・・・、ありがとう」


恵子の携帯電話が鳴る。


恵子 「非通知だ。誰からだろう?」

坂上 「俺が出る。貸して」


恵子の携帯電話に出る坂上。

電話の向こうは貝藤弁護士である。


貝藤弁護士 「鈴木恵子さんですか?」

坂上 「代理の者だ」

貝藤弁護士 「これはこれは、確か坂上さんとおっしゃいましたな?」

坂上 「あんたは?」

貝藤弁護士 「申し遅れまして。私は岡村ハムの法律コンサルタントを担当しております貝藤弁護士と申します」

坂上 「法律コンサルタント? 早い話が裏社会の便利屋だろう? さっきのポルシェの弁償代なら払わんぞ」

貝藤弁護士 「あれは私の部下が早まった真似をしでかしまて、大変ご迷惑をお掛けしました」

坂上 「電池がもったいない。用件を早く言え」

貝藤弁護士 「実は鈴木恵子さんの件では、会社側も大変申し訳ない事をしたとの事でして、改めてお詫びとお話し合いの場を設けたいとおっしゃっているのですが?」

坂上 「改めて、なんだって?」

貝藤弁護士 「ですから、あなたと恵子さんには、充分なお金を用意すると言う事ですよ。その代わり今回の件は一生口外しないとのお約束が条件ですが」

坂上 「本人と相談してから掛け直す。そっちの番号は?」


メモ用紙に番号をメモすると、電話を切る坂上。


坂上 「会社がカネで解決したいってさ」

恵子 「そんな今更!」

坂上 「どうせ嘘っぱちだよ。俺達をおびき寄せて始末する為のワナに決まってる」

恵子 「どこまで汚いの! ・・・、でも、私、どうすれば?」

坂上 「このままでは一生追われ続けるか、日陰者の生活が待ってる。それが嫌なら、会社側に有無を言わせない様な方法を取るしかない。何か良い方法は無い物か・・・」

恵子 「私に良い考えがあります!」

坂上 「どんな考え?」


坂上に耳打ちしてアイディアを話す恵子。


坂上 「それは本当なの、恵子ちゃん?」

恵子 「はい、社内でもごく一部の人しか知らない情報ですが、たまたま私、耳にしてしまったんです」

坂上 「だとすると、動かぬ証拠を手に入れる必要がある。だが相手は手強い。俺には力になってくれる友達が何人かいるから、ちょっと当たってみる」

恵子 「本当に? 坂上さん、私も戦います!」

坂上 「そうこなくっちゃ! 俺はこれからいくつか連絡を取ってくる。

恵子ちゃんは疲れてるだろうから、ちょっと休んでなよ」

恵子 「うん・・・」

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