第4話 シーン12〜15

シーン12


人事課室に駆け込む恵子。


恵子 「深大寺課長! これは一体どう言う事ですか⁉」

深大寺課長 「鈴木君。まあ気を鎮めて。奥に入りなさい」


シーン13


応接室の、また奥にある別室に連れて行かれる恵子。


深大寺課長 「昨日話した、いかがわしいバイトをしているウチの女子社員だが、あれは君だと言う事が分かったんだよ」

恵子 「いかがわしいって! 私はそんな事してません!」

深大寺課長 「じゃあ、これは一体誰だね?」


深大寺課長がリモコンを操作すると、部屋の大型ディスプレイに恵子が出演したアダルトビデオが映し出される。


恵子 「これは・・・、私じゃありません! 一体この人のどこが私だって言うんですか?」

深大寺課長 「『夜露に濡れる変態人妻 松原さとみ 30歳』」。メイクは濃いが、これはどう見ても君本人としか思えんがな。ほら、ハイビジョンだから身体のホクロの位置までクッキリと写っているじゃないか」

恵子 「・・・!」

深大寺課長 「なんならここで脱いでもらって、ホクロの位置を確認させてもらってもいいんだぞ? ほら、脱いでみろ」

恵子 「嫌です、そんなの!」

深大寺課長 「このビデオは全部見させてもらったが、君は中々良い身体をしているじゃないか。アッチのテクニックも上手そうだしな。どうだ、これから私に奉仕してくれるんだったら、懲戒免職は撤回して地方の現場に移動させてやっても良いんだぞ。社内には箝口令を敷いてやるから、外部に君の痴態が漏れる心配もない」

恵子 「・・・本当・・・、ですか?」

深大寺課長 「ああ、約束してやる。ほら、何をしている。早くせんか!」


前が膨らんだズボンのジッパーを下げる深大寺課長。

しゃがみこみ、行為をしようとする恵子。

だが、恵子は深大寺課長の顔を睨み上げ、


恵子 「このサイテー男!!」


手の平をグーで握りしめると、深大寺課長の股間に強烈なアッパーカットをお見舞いする恵子。


深大寺課長 「ぐぁっ!」


悲鳴と共に倒れ込む深大寺課長。


立ち上がり、ダメ押しにもう一発股間にキックを食らわす恵子。


恵子 「食らえっ!」

深大寺課長 「むんっ・・・」


声にならない悲鳴を上げ、失神する深大寺課長。


シーン14


恵子は駆け足で職場へ戻ると、私物を鷲掴みにしながら、


恵子 「こんなサイテー会社、私辞めます‼」


職場の同僚の視線は冷たい。


今井係長 「お前の噂はもう会社全部に広まっているんだ。いずれ関連企業にも知れ渡るから、再就職は期待するなよ。せいぜいヘルスかソープに沈むんだな。そのうち遊びに行ってやるよ」


今井係長に近寄り、股間を蹴り上げる恵子。


今井係長 「ぐあ!」

恵子 「残念ね。これじゃあ、もうお相手出来ないわ」


シーン15


早足と大股で職場を去る恵子。


その形相はまるで鬼の様だったが、家路に近づくにつれて泣き顔になり、近所の公園のベンチに泣き崩れる恵子。


恵子 「うわぁっぁぁぁん‼」


通りすがる人目もはばからずに泣きじゃくっている恵子に、一匹の子犬を連れた少女が心配そうに近寄って来る。


恵子の頬に伝う涙を子犬がなめる。


少女 「お姉ちゃん、これ」


恵子にハンカチを渡す少女。


恵子 「ぐすん、ありがとう」

少女 「ウチのお母さんが言ってた。大人になるのはつらい事だって。お姉ちゃんも大人だからつらい事があったの?」

恵子 「え? ・・・、うん、そうかも知れない」

少女 「だったら私、大人になりたくないかも」

恵子 「そんな事ない。良い事だって一杯あるよ」

少女 「本当に? じゃあ、やっぱり大人になろうかな」

恵子 「うん、ウフフ」

少女 「あ、お姉ちゃん笑った。良かった! じゃあね!」

恵子 「うん、ありがとう」

少女 「バイバイ!」

恵子 「あ、これ!」


去ろうとする少女にハンカチを差し出す。


少女 「いいの、それあげる~!」


少女に手を振る恵子。


恵子 「悔しい・・・。このままじゃ済ませない!」

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