02

 時期が悪かった。

 第二次成長が、まだ来ていない。

 彼女の相手をするには、なんとも自分は幼すぎた。

 脳の成長だけ早かったので、正義の味方をしている。ときには、危険な仕事も引き受ける。この年齢でしかできない任務は、幾つか存在していた。

 そして。彼女に出会った。

 6つ上。大人として子供を産めるようになった彼女の本気の愛は、子供の自分には受け止めきれない。

 良い女なんだろうなとは、思う。気立てがいい。器量もいい。かわいい。

 ただ、どうしようもなく、自分には第二次成長が、来ていない。まだうんちとかちんちんとかでよろこぶそこらへんのくそがきと遜色ない、子供のからだだった。

 彼女とは、ついさっき別れた。

 泣いていたが、さすがに理由までは言えなかった。ちんちんがよわよわだから別れるというのは、なんというか、さすがにはずかしい。


『は!? 別れた!?』


「ああ」


『うそだろお前。そこは適当でもなんか、関係をぐだぐだ続けておくべきだろうが』


「いや、その。ちんちんが」


『ちんちんなんてなんとでもごまかせるだろ。おまえばかだなあ。そういう変なところで正直なんだから。子供かよ』


「子供だよ。まだちんちんもやわらかい正真正銘の子供なんだよ」


『いやあ、それにしてもお前、よくぞそんな理由で』


「頭のなかは大人だからな。身体は子供、のうみそは大人」


『はあ。悩み事も多そうだな。切ない』


「いや。特に悩みという悩みはないけど。ちんちんだけだよまじで」


『そんなもんなのかあ』


「おい。仕事仕事。情報はやくくれよ」


『あっすまん』


 彼女と別れた心の穴を、仕事で埋めてしまいたかった。

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