2-6:首都テユヴェローズ
首都テユヴェローズは、南に
漁業が
港から
街全体が、山の斜面に広がっており、海から山にかけて
中心には、商店や屋台が立ち並ぶ大きな広場があり、そこから東西南北に向けて大通りが走る。その大通りに区分けされ、赤茶色の屋根
北大通りの行き着く先には官公庁街があり、最北には四本の塔を連結させた様な外観の
その港に面した宿屋――。
窓から差し込む朝日の光に照らされて、カラナは目を覚ました。
数分程、意識がはっきりするまでベッドの中で
背伸びをしてベッドから起き上がり、窓越しに朝の港を
ちょうど、
特徴的な
魔導石生産の一大商会・レッドベリル
「カラナ、おはよう!」
背後から声がした。
隣のベッドで身を起こし背伸びしているサフィリアに
首都テユヴェローズに
元老院のある官公庁街は、防犯上の観点から夜間に立入は出来なくなる。その為、街外れの宿に一泊し、朝を待つ事になった。
クラルについては牢馬車が破壊されてしまった為、監視の
もちろんこれは建前で、もはや"彼女"に
そのクラルもようやく起き上がり、こちらを向いて一礼する。
「おはよう、クラル」
一声かけて、部屋の入口へ向かった。
「サフィリア、あたしはベロニカの様子を見て来るから、クラルと一緒に待っててくれる?」
「分かった!」
元老院へ向かう前に、いくつかやる事がある。
まずはベロニカの療養だ。命は助かったものの、ショックで
廊下に出て隣の部屋の扉をノックする。
「カラナよ。入るわね」
扉の向こうから許可する声。
こちらの部屋にはベロニカ含め二名の女子団員が泊っている。他二名は
「おはようございます、隊長」
カラナの姿を確認し、敬礼する三人。
無理に身体を起こそうとするベロニカを手で制し、ベッドの横に座る。
「気分はどう?」
「……あまり良くありません」
うつむいて視線を手元に落とすベロニカ。
背を
クラルによれば、物理的な肉体の損傷は完全に治っており、痛みや後遺症はない
ベロニカの
「ベロニカ。貴女をしばらく
「ありがとうございます」
ちからなくお
「朝食は後で運ばせるわ。身体を休めていなさい」
立ち上がり、彼女たちの部屋を後にする。
自分の部屋に戻ると、サフィリアとクラルがベッドに腰かけて何やら世間話をしていた。こちらの姿に気付き、視線が集まる。
「どうでしたか?」
意外にも、最初に問いかけて来たのはクラルだった。
「身体は大丈夫よ。でも、精神的に参っているみたいね?」
「……人間の方は、精神にダメージを受けると身体も動かなくなるのですね?
わたしには精神と言うものがないのでよく分かりませんが……」
「……
返答せず、小首を
正直に言って、"彼女"たち『ハイゴーレム』にどれほど人間らしい感情や精神があるのかは、カラナも分からなかった。
「さて、あまりぼんやりともしていられないわ。
「……まず確認しておきたいんだけどね。 クラルの事はどう説明するの?
まさか、いきなり処刑されちゃったりしないよね?」
「大丈夫よ。クラルはアナスタシス教団によるコラロ村襲撃の証拠として……少なくともこの一件が片付くまでは、あたしに同行してもらうわ」
クラルの方に向き直り続ける。
「あたしはまだ、貴女が完全に無害だと確信していない」
分かっている、と言う風に無言で
「だから任務を通して、貴女のことが信用
「やった!」
小さくガッツポーズを取るサフィリア。
「よかったね!」とクラルに笑顔を向ける。
内心、クラルについては問題ないとは思っている。
仮に
たった一体の『ゴーレム』に、そこまで
「よし、みんな着替えて。……ああ、クラルはこっちに着替えてもらっていい?」
前日、部下から借りた服一式をクラルに手渡す。
「これは……
"彼女"に渡したのは
「牢馬車は壊れてしまったし、元老院議事堂に到着するまで、貴女を『ゴーレム』
「分かりました」
「額の魔導石はこれで隠してね」
同じく支給品の額当て――これは着用が
「わあ、お似合い!」
サフィリアも同じ感想を
さて――。
ここからが頭の痛いところである。
サフィリアについて、クラルについて、どう
アナスタシス教団にどう、今回の件を
そして、首都へ
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