第25話 巫女VS守護神
影の龍脈の力を感知できなくなり勝利の余韻を味わっている二人の守護神。
しかしさっきまで感じられなかった五つの龍脈の力が二人の守護神を囲むように出現する。
「あら、貴女達まさか私の影にここまでしておいてそのまま帰れると思ってるの?」
「人の好きな人に手を出してただで帰れると?」
「恋の恨みは怖いの知らないの?」
声のする方向に振り返ろうとすると声は五つの方向から聞こえる。
「貴女達それは私情でしょ」
「全く……でもまぁこのまま帰すわけには行かないですね」
冷気のレーザーで舞った土煙が落ち着くとそこには五人の巫女がいた。ボロボロになった影をお姫様抱っこで未來が抱えている。残りの四人はただ立っているだけだがいつでも戦闘態勢に入れるように準備している。
「ここで巫女が五人……」
「あぁ不味いな。さっき影が言っていた通り勝つか負けるか半々だな」
守護神二人が背中合わせになり巫女の攻撃に構える。
「未來! 影はまだ死んでいないわ。今ならまだ間に合う! 影を連れて行きなさい!」
詩織が未來に向かって大声で叫ぶ。
「でも……それだと皆が……」
未來の言葉をえりかが遮る。
「私達は何の為にここまで来たの? 影を助ける為でしょ!」
「未來! 私達を信じなさい!」
「今まで二年間、影にお世話になったんでしょ! なら一回ぐらいちゃんと恩返ししなさい!」
まいと有香もえりかに続き叫ぶ。まいと有香が叫んでいるのを見たのは未來でも初めてだった。だからこそそれだけ皆の思いが同じであることに気づく。
「ありがとう」
未來はそう言って影を抱えたまま全力で村に向かって飛んでいく。
移動中も影に回復スペルを使用する。
「お前達まさか四人で私達と対等に戦えると思ってるの?」
女の守護神に詩織が答える。
「思ってなかったらここにはいないわ」
「五人だといい勝負だったが四人なら何とかなるな」
男の守護神の表情が柔らかくなる。
「一つ言っておくわ。私達今日は本気で行くわよ」
有香の言葉と同時に巫女装束の四人の龍脈の力が探知結解を使わずとも分かるぐらい急激膨れ上がる。そして巫女の全力の時にだけ見る事が出来る優しいオレンジ色のオーラが身体から溢れ出る龍脈の力に反応して発光する。
巫女の本気は身体能力上昇、スペル時短、肉体へのダメージによる自動回復、情報処理能力向上と様々な効果を付与する。
この瞬間、瞳の村の結解も未來の結解を残し全て消滅する。未來は戦闘による万一の流れ弾で村が被害を受けないように維持を続ける。そして残り四つの村の結解と探知結解も消滅する。影と同じく戦闘に全ての龍脈の力を使う。
各村に配置された勇者達もこれから巫女達と守護神の決着がつくまでの間、狂暴化した野生動物から村を守らなければならない。
「まだ気づきませんか? 私達四人の本気は今の貴女達二人に匹敵すると」
まいが守護神に話しかけ時間稼ぎをしている間に巫女が意識共有で作戦を練る。
『私とえりかで男の守護神を相手にする。まいと有香で女の守護神をお願い』
詩織の指示に三人が頷く。
「確かに。今までの報告では滅多に聞かない姿だ。その姿は巫女の限られた者しか使えないと聞いているが?」
「簡単な事よ。巫女が本気になれば全員これくらい出来るわ。だけど守る民達がいては戦闘に龍脈の力を全て回せないのよ」
えりかが男の守護神の質問に答える。
答え終わるタイミングで全員が動いた。
巫女四人と守護神二人がそれぞれの相手とぶつかる。
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