第53話 「オレオレ詐欺」と「キングダム」

 昨日、店の電話に出たら「オレです、オレです」だと?

 いやあ、この電話にオレオレ詐欺はかかって来んだろと思ってたら、同僚の若い男の子でした。「寝坊したんで今から出勤します」との事。君、もう4時間経過(爆笑)してるんだけども。私の返事は「気を付けて来いよ。朝ごはんはちゃんと食べてな」だった。なんて優しいんだ……。


 さて「キングダム」です。コミックです。この作品はアニメ化されたし実写映画化もされたんで知ってる人も多いかと思います。最近はキングダムに詳しい「キングダム芸人」もいるらしい。

 これ、凄く面白いです。先ずは舞台設定。中国最初の統一王朝と言われている秦帝国の成立過程を描いています。これがすごく新鮮で興味深かった。若き秦国王(のちの始皇帝)と大将軍を目指す少年の物語ですね。始皇帝と言うと焚書坑儒などで悪名高いんで、悪役のイメージがありますが、見方を変えればあの地を初めて統一した英雄なんですよ。そして、将来将軍になる下僕の少年です。この辺は少年漫画的なフィクションですが、一見、負けてしまいそうな難敵と対峙し逆転勝利を積み重ねていくんですね。熱い構成になってます。

 この辺の構成に関しては、参考になる要素がたくさんあります。「難敵との対峙」→「苦戦」→「逆転勝利」ですね。こういう〝どんでん返し〟的な構成の連続と言っていい位です。こういうドラマティックな演出は、バトルものに限らず恋愛ものなどにも応用できるのではないかと思っています。

 まあ、休憩時間にスマホで読んでたりするんですが、若い男の子が「これ、織田信長ですか?」とか聞いて来たので、「これはキングダムだよ」と。彼はキングダムを知らないようで、「秦の始皇帝の頃の話」と教えてやったのだがそれも知らなかったらしい。世界史、中国史では必須なんだけどな。ま、うちの職場はこんなもんですけどね。

 エンタメ視点からの中国史となると、一番有名なのが「三国志演義」ですね。他には「封神演義」とか「水滸伝」、それから「西遊記」かと。司馬遼太郎の「項羽と劉邦」もあるな。

 時代順に並べると、「封神演義」(殷周)、「キングダム」(戦国~秦成立)、「項羽と劉邦」(秦末~漢)、「三国志演義」(三国)、「西遊記」(唐)、「水滸伝」(宋)、こんな感じかな。こんなの常識だと思っていたのだが、知らない人は全然知らない事に気づいた。桃園の誓いと三蔵法師はどっちが古いかとか、三国志とキングダムはどっちが古いのかとかね。ま、興味のない人ってのはそんな感じなのでしょう。自作品にマニアックな内容を盛り込む際の注意点でしょうか。この辺も難しいなと思いますね。




 

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