第64話 屋台を始めよう
朝ご飯をヴァイスと一緒に食べてお片付けをしたら、開店の準備と屋台の準備をしよう。まずはお店の開店準備を終わらせてしまおう。その後は屋台の準備だ。
お店の外にテーブルを出して、その上に製氷機とかき氷機を置く。後はシロップを並べてお皿とスプーンを準備したらOKかな。
「あっ、傘忘れたっ!」
『それは必要だな!』
急いで錬金釜の所に向かうと、布と鉄を錬金釜に入れて折りたためる大きな傘を作った。これだけでもあれば違うだろう。アイテムボックスに入れて行けば表に持って行くのもすぐだ。
外に傘を建てていると、レオナとフリッツがやってきた。
「カノンおねぇちゃん!」
「おはようございます!」
「2人ともおはよう。今日はレオナとフリッツなんだね」
フリッツは黒髪に赤い目の恰好良い12歳の男の子なのだけど、なんとも可愛い黒いうさぎ耳が付いているのです! 今日は白黒のうさ耳コンビでとっても目の保養で可愛いです、素敵です!
使い方の説明をしてお金の置く場所も準備して屋台も開店させよう。
「どうかな? 出来そう?」
「はい、大丈夫です」
「俺も大丈夫です」
「暑いから無理しないようにしてね。体調悪くなってきたらすぐに入ってくる事。それと、これ飲みながらやるんだよ」
「カノンおねぇちゃん、ありがとう。みんなのご飯の為にも頑張るね!」
「うん、でも頑張りすぎないように気を付けるんだよ」
「はい!」
2人とも孤児院のみんなの為に頑張るんだってとても張り切っている。アイスティーをテーブルに置いておいた。話していると、お肉屋さんのベティーナさんが来た。
「おや、カノン。屋台も始めたのかい?」
「あっ、ベティーナさん。そうなんですよ、アイスみたいに冷たい食べ物でさっぱりと食べられるかき氷というんです」
「それは試してみないとだねぇ。1個くれるかい?」
「はいっ! 味はどれが良いですか?」
「4種類あるのかい。今日はオレンジで頼もうかねぇ」
レオナはかき氷機の上に氷が入っているのを確かめてから、深皿を置いてかき氷機の横に手を当ててかき氷を作る。氷が盛られた器をフリッツに渡すと、フリッツがオレンジのシロップをレードルで掛ける。
もう連携が取れているのが素晴らしいね。
「お待たせしました」
「ありがとうねぇ」
「ベティーナさん。良ければお店の中でどうぞ~」
「ふふっ、ここでいいよ」
そういうと、お店のすぐ側で食べ始めた。
「ん!? さらっと溶けちまったねぇ。アイスクリームより確かにさっぱりしているから、この暑さには嬉しいねぇ」
「そうなんですよね~。しかもアイスよりも冷えるので、涼しくなります」
そんな話をベティーナさんとしていたら、それを見ていた近くの人達がかき氷を買いに来てくれた。ベティーナさんはこれを狙っていたみたいだ。確かに見ると食べたくなったり、気になるよね。
食べ終わる頃には屋台もにぎわってきていた。2人とも役割分担が上手いので、危なげなくまわしている。
お店に入ると、ベティーナさんもお店に入ってきた。
「ベティーナさん、ありがとうございます」
「アルマから孤児院の子達が屋台を出すって聞いていたからねぇ。カノン、ありがとうねぇ」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。おかげで2人とも楽しそうです」
「なかなかあたし達じゃ動けなかったから、カノンが動いてくれて良かったよ。あんなに可愛くて良い子達は手伝いたくなるねぇ」
「そうなんですよ。みんなとっても良い子達なのでお手伝いしたくなっちゃうんです」
「何かあったらいつでも言うんだよ」
「はい、ありがとうございます」
アルマさんに感謝だね。お蔭で屋台も良い感じに動いている。お水を足して氷を作っておかないとかな。ボウルにお水を入れて錬金棒でくるくるとして、かき氷にするのに美味しいお水に変えてから持って行こう。
お店の外に出ると、フリッツに声を掛ける。
「フリッツ、これ氷用のお水ね」
「ありがとうございます!」
「何か困ってる事ある?」
「まだシロップもあるし、大丈夫です」
「何かあったらすぐに来るから声を掛けてね」
「はいっ」
本当によく働く子達だ。本当に倒れないように気を付けておかないとだね。
「カノンおねぇちゃん」
「ん、どうしたの?」
「お皿が!」
「あっ、クリーンする物がなかったね。ごめんね。クリーン!」
「ありがとう!」
「今日は私が掛けるから、呼んでくれたらいいよ」
「うん、ありがとう!」
孤児院の前でやる予定だったから、クリーンは部屋クリーンを使えば良いかと思っていたんだよね。すっかり忘れてた。今日の夜に作っておかないとだね。
『カノン。椅子を準備して貰えるか?』
「ん? どうしたの?」
『我が外にいてやる』
「ふふっ、ありがとう」
ヴァイスと2人用にも椅子を持って外に出る。机の側にヴァイス用の椅子と2人の椅子も置いておいた。
「2人とも、お客様がいないときは座って休みながらやってね」
「カノンおねぇちゃん。ヴァイスちゃんどうしたの?」
「ふふっ。ヴァイスはクリーン魔法が使えるからやってくれるって」
「わわっ、ヴァイスちゃん凄い! お願いしますね」
ヴァイスはこくんと首を1つ振って返事をした。恰好付けている感じだけど、しっぽはゆらゆらしている。ヴァイスが外にいてくれるなら安心だから、中に入ろう。
途中でお水を足したりしながらお店番をしていると、そろそろお昼の時間だ。キッチンのテーブルにご飯を準備しよう。海鮮丼とアサリのお味噌汁にしようかな。それとアイスティーを出しておこう。
ご飯の準備が出来たら、お店を一旦閉めて3人と交代しよう。
「レオナ、フリッツ、ヴァイス。キッチンにご飯を準備しているから食べておいで~」
「えっ!? ごはん!?」
「ちゃんとご飯を食べないと元気でないよ~。私はお昼の間はお店を閉めてるから、ゆっくり食べておいでね」
「おれ、食べなくても大丈夫だよ!」
「フリッツは今成長期で食べないといけない時期だよ。慌てなくて良いから、ゆっくり食べるんだよ?」
「えっと、ありがとう」
「それと、みんなにも屋台の売り上げでご飯の材料を買ってあげられるから、安心して食べたら良いんだよ」
「「うん、ありがとう」」
「ヴァイスもありがとうね。一緒に食べておいでね」
『カノン1人で大丈夫なのか?』
「うん、もちろん。何かあったら呼ぶから大丈夫だよ。2人に教えてあげてね」
『任せておけ!』
3人を見送り、私は屋台に立つ。製氷機の中を見るともう氷が少なかったので、製氷機に残っていた氷はかき氷機に移しておいた。ボウルにお水を入れてかき氷に美味しいお水に変えてから製氷機に入れる。
さすがにお昼なので、お客様は少な目だった。今の間にシロップとかも足しておこう。
「カノンおねぇちゃん、ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした。とっても美味しかったです!」
「足りたかな?」
「「うんっ」」
2人と交代してまた私はお店の中に入る。ヴァイスはまた外で2人と一緒に居てくれている。なんだか楽しそうで見ていて私も嬉しい。
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