第63話 畑に必要な物を作ろう

 孤児院からお店に帰ってきたので、そろそろ午後のお店を開けよう。


 お店を開けたら、畑用の魔道具を考えようかな。黒の魔石を付けて、軽くなるじょうろが良いかな。後は液体肥料を作っておこうかな。

 それと錬金じょうろ作ろうかな。植物は一応色々な種を育てているし、育つの早くなったら良いな。試してみよう!


 後はさっき買ってきたバッグをアイテムバッグにしようかな。でも、魔石を貼り付ける作業中に声を掛けられたら失敗してしまうので、これは夜に作ろう。


 とりあえず、液体肥料を作っておこうかな。これはもう作っているから省略出来るからね。

 液体肥料には黄の魔石、癒し草、卵、ドラゴンの牙、爪が必要なんだよね。魔力を込めるのとドラゴンの牙、爪、癒し草を刻むのを省略しようかな。


 ボウルに黄の魔石(中)、癒し草、卵を入れて錬金棒を入れると、ぽんぽんっ! と液体肥料がどんどん出来ていく。後でアルちゃんにもあげようかな。


 お店番をしている間は騎士団への納品準備をして、アイテムボックスに仕舞っておく。後は、在庫を補充したり増やしてアイテムボックスに仕舞っておいたりと意外と忙しい。


「おう、カノン」


「ゲルトさん、いらしゃいませ」


「カノン。このおにぎりの種を10個と回復ジュースを5本頼む」


「はい、ちょっと待ってくださいね~」


「この種は持ち運びが楽で良いよな」


「他にも色々なお料理の種も増えてますよ」


「何っ!? 何があるんだ?」


「食べやすいのは唐揚げとかですかね~」


 ゲルトさんにアイテムボックスから唐揚げの種を取り出してコップに植えてみる。


「これが唐揚げの種か?」


「そうです。少し待っていて下さいね」


「おう、ありがとな」


 ゲルトさんはお店の中を見ながら待っていると、唐揚げの実が育ってお皿に乗った唐揚げが大きくなってきた。この光景はいつ見ても面白い。


『カノン、我も食べたいぞ!』


「後であげるね」


「おお! 唐揚げってこれなのか。取って良いか?」


「はい、どうぞ。熱いので気を付けてくださいね」


「熱いのか!?」


 収穫した唐揚げを持つと、ゲルトさんは熱々で驚いたみたいだ。口に入れてからも熱くてはふはふしながら食べている。


「実になっても熱いなんて凄いな! しかもこれ旨いっ!」


「出先でも熱々だったり冷たい物を食べたり飲めたら良いなと思って、作ってみました!」


「ははっ、カノンは本当に凄いな。お勧めの種を貰って良いか?」


「はいっ、後はこの熱々ピザの実の種とポテトの種がお勧めです!」


「カノンがお勧めしてくれるって事は旨いんだな。よし、それも2個ずつ入れてくれ」


「はい、ありがとうございます」


 ゲルトさんは満足気に帰って行った。ピザとポテトが楽しみで、明日はちょっと依頼受けてくる! と冒険者ギルドに急いで行ったゲルトさんがちょっと可愛らしかった。



 夕方になりお店を閉めたら、お夕飯を食べてヴァイスと一緒に錬金部屋へ向かう。


『今日は何を作るのだ?』


「錬金じょうろを作ろうと思ってね」


『錬金じょうろ? 何に使うのだ?』


「孤児院の畑の作物が早く育たないかなと思ってね。だってまだまだ時間かかると食べる物増えないでしょう?」


『た、確かにそうだが、何か育てたか?』


「えっと、食べ物の種植えてるからきっと出来るかなと思ってね。出来なくても少しは成長が早くなる気がするんだよね~」


『なるほどな。カノンだったら出来そうだな』


 ミスリルを錬金釜に入れて、じょうろを2つ作った。1個は錬金じょうろにするので、全部の魔石(大)を貼り付けないとだね。

 魔石を貼り付けたじょうろを錬金釜に入れて蓋を閉めて魔力を流す。


 チーン!


 錬金釜の蓋を開けて鑑定してみると、錬金じょうろと書いてある。これを使うのとっても楽しみだなぁ。


 次は孤児院に置くためのじょうろだ。これには黒の魔石を貼り付けて軽くする予定だ。じょうろの外側に黒の魔石(中)を貼り付けたら錬金釜に入れて魔力を流す。


 チーン!


 蓋を開けて鑑定すると、軽いじょうろ(中)と書いてある。お水を入れて試してみると、じょうろにお水を沢山入れても凄く軽かった。これで子供達にも使いやすいじょうろが出来たね。


「うーん、液体肥料どうやって入れようかな」


『どうかしたのか?』


「うん、植物用液体肥料を簡単に撒けないかなと思って」


「きゅっ!? きゅ~」


「あっ、ごめんごめん。アルちゃんの液体肥料はまかないよ~」


「きゅきゅ~」


 アルちゃんをなでなでしてあげてから、お湯を少し貰ってから熱めのお湯と液体肥料を足してあげる。今日も気持ちよさそうだ。


「きゅ~」


「このじょうろに入れて簡単に撒けるようにしたいんだよね~」


『なるほどな。だったら固形にすればいいのではないか?』


「そっか。じょうろの中に入れておいて少しずつ溶けだすようにすれば良いんだね~」


『そうだな』


 液体肥料と青の魔石(小)を錬金釜に入れてみようかな。これで固形に出来ないかな?

 錬金釜に入れて魔力を流すと、蓋の上の部分に×マークが出た。これだけだと出来ないみたいだ。黄の魔石で試してみようかな。

 錬金釜に液体肥料と黄の魔石(小)を入れて魔力を流してみると、これもまだ×マークが出た。


「むむ、難しいな」


『そうみたいだな。魔石を足してみるか?』


「あっ、そうだね。1種類だからダメなのかもしれないね」


 水にゆっくり溶けるようにするんだったら、黄の魔石(小)と青の魔石(小)の両方を入れてみたら良いのかもしれない?

 錬金釜に液体肥料、青の魔石(小)、黄の魔石(小)を入れて魔力を流す。


 チーン!


「あっ、出来たかな?」


 蓋を開けてみると、コロンとした石みたいなのが出来ていた。鑑定してみると、固形肥料と書いてある。良く鑑定してみると、水に少しずつ溶けだして全体に簡単に撒けるようになると書いてある。


「出来たー!」


『良かったな』


「うんっ!」


 まずは液体肥料を沢山作る。錬金釜に液体肥料を入れるとぽふんと固形肥料に変わる。沢山作ってアイテムボックスに仕舞っておいた。

 魔力回復アイスティーを飲みながら、次に作るアイテムバッグの準備をしよう。まずは今日買ってきたウエストポーチの内側に黒の魔石(大)、白の魔石(大)を貼り付ける。


「ねぇ、ヴァイス。アイテムバッグの容量は馬車1台分かなぁ?」


『十分だろう』


「やっぱりそうだよね。でも3台分入った方が便利だと思うんだけどなぁ」


『カノン。やめとけよ?』


「はーい!」


 魔石2個だけならとっても簡単に作れるね。錬金釜にポーチを入れて蓋を閉めたら、魔力を流す。


 チーン!


 蓋を開けて鑑定してみると、アイテムバッグ(時間経過ゆるやか)と書いてある。うん、これなら売っても良さそうだね。


「もう1つのリュックもアイテムバッグに変えちゃおう~!」


『そうだな。明日からお店に置くのか?』


「うん、そうだね~。あれ? そういえば省略出来ちゃう?」


『……そうかもな』


 魔力を込めるのと、魔石を貼り付けるの2個、後は魔石を1つ減らそうかな。錬金釜にアイテムバッグと黒の魔石(大)を入れるとぽふん! とアイテムバッグに変わったみたいだ。

 鑑定してみると、アイテムバッグ(時間経過ゆるやか)と書かれている。


「おぉ、出来たーっ!」


『……』


「いやいや、何か言って? そんな目で見つめないでよぅ」


『いつ見てもおかしいな』


「いつ作っても錬金術(省略)スキルさんが素敵すぎる!」


『そう、だな』


 明日は朝から屋台の準備もあるから頑張ろう!

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