第48話 お店に帰ろう

 お昼ごはんをのんびり食べたら、21階へ下りよう。21階へ下りている時に上から見渡せる事に気が付いた。この階は他のダンジョンみたいに1フロアになっているみたいだ。

 またゴロゴロした岩が色々な所に見えるけれど、なんだか色が違う? 21階へ下りて鑑定してみると、ミスリルゴーレムと書いてある。


「ヴァイス、ミスリルゴーレムが沢山いるよ!」


『よし、任せておけ!』


「お願いしますっ!」


 ミスリルゴーレムからは黒の魔石(大)、ミスリルがドロップした。21階と22階にミスリルゴーレムが沢山いたので、大量のミスリルが手に入った。これは嬉しすぎるっ!


「わぁ、ミスリルがいっぱいだよ~。ヴァイス、ありがとうね!」


『うむ!』


 ヴァイスにお礼を言いながら、もふもふの毛皮にすりすりと頬ずりして癒される。極上の毛皮が素敵なのです。

 フロアが1フロアになった事で、フローデスベルナーが大活躍してさらにスピードが上がって先に進めた。次の23階へ下りてもまた1フロアだったので、フローデスベルナーで楽々と移動していく。


 23階の階段上から見てみると、またゴーレムっぽい。23階に下りて鑑定してみると、メテオゴーレムと書いてある。


「うわぁ、メテオゴーレムって書いてあるよ。なんだかすごく強そうだねぇ」


『我には問題ないが、普通の冒険者には難しいだろうな』


「やっぱりそうなんだ」


『ああ。あれは魔法を撃ってくるゴーレムだからな』


「えっ、岩なのに魔法を使うの!?」


『ああ。しかもその魔法の範囲が広いから逃げられもせんだろうな』


「うわぁ、それは大変だね」


『ここから魔法を撃ってしまうぞ。カノン、目を閉じていろ!』


「はいっ!」


 目をぎゅっと瞑って光りを待つ。少し待つと、ヴァイスが大魔法を撃ったみたいだ。少ししてそぉっと目を開けてみると、あちらこちらにドロップ品が転がっている。


 メテオゴーレムのドロップ品は黒の魔石(大)、メテオライトだった。メテオライトは鑑定してみると隕鉄だった。隕鉄って何に使えるんだろうなぁ。


「ヴァイス。25階のボスってあれだよね」


『そうだな。またメテオゴーレムであろうな』


「いきなり目の前にメテオゴーレムは危なくない!?」


『我に任せておけ!』


 ドロップ品をアイテムボックスに仕舞うと25階へ下りて行く。25階のボス部屋に入ると、やっぱりメテオゴーレムがいたので、さくっとヴァイスに倒して貰う。


 ボスのメテオゴーレムのドロップ品は黒の魔石(大)が二つ、メテオライトだった。でも、1個の魔石は色が少し違って見える。

 鑑定してみると、黒の魔石(メテオ)と書いてある。


「ヴァイス。この魔石、黒の魔石(メテオ)って書いてあるんだけど!?」


『ふむ。あのメテオゴーレムが使える魔法が使えるようになるって事か』


「そうなんだ。もしかして、とうとう私にも攻撃魔法が使えるようになるってこと!?」


『カノン、あの魔法は危ないと思うぞ』


「う……確かに怖そうだね」


『我のいた山で試してからにした方がいいと思うぞ』


「そうします!」


 辺り一面に隕石が降ってきたら困るもんね。きちんと使えるか試してみてからにしよう。本当だったらアイテムボックスに仕舞っておいた方がいいんだろうけれど、魔法が使えるようになったら嬉しいのでやっぱり試したい。


「あれ? 階段じゃなくて魔法陣だね。もしかしてここって25階までだった!?」


『そうだぞ』


「鑑定し忘れてたよ」


『また冒険者ギルドで報告が必要そうだな』


「うっ、確かに。王都の冒険者ギルドで良いかな」


『良いんじゃないか?』


 王都に帰ったら冒険者ギルドに寄ってから帰ろう。魔法陣に乗ってダンジョンの1階へ戻る。ダンジョンの外に出て少し離れた所で、大きくなったヴァイスに乗せて貰い王都へ帰ろう。


 ヴァイスに乗せて貰うとあっという間に王都へ着いた。王都の手前で降りて、小さくなったヴァイスを肩に乗せて王都へ入ろう。

 門で手続きをして貰い王都に入ったら、まずは冒険者ギルドへ行こう。


 冒険者ギルドに入って、受付のアリーナさんに声を掛けてギルマスの部屋に通して貰う。


「カノン、どうした?」


「北の山にある鉱山ダンジョンをクリアしてきました~」


「はぁっ!?」


『うむ』


「またか……」


「すみません。黒の魔石(大)が欲しかったんですよね~」


「なるほどな。まあいい、ダンジョンの情報とドロップ品の買い取りをさせて貰えると助かるんだが?」


「大丈夫ですよ~」


 ギルマスにダンジョンの情報を話したり、ドロップ品の買い取りをして貰ってから冒険者ギルドを出る。今回は宝石が多かったから結構高く売れた。ヴァイスに美味しい物を作ってあげないとだね~。


「ヴァイスのお陰で黒の魔石も沢山手に入ったから、錬金マドラーを作っちゃおう~」


『それは何が出来るのだ?』


「えっと、混ぜるとアイスティーとか?」


『またか……』


 省略出来る事を考えたら、きっと何もない所からアイスティーを作ったり色々作れそうで、ちょっとわくわくしてくるよね!


「だって楽しそうでしょ?」


『まあ、確かにな』


 ヴァイスも省略スキルで楽しめるようになると良いね~。いつも突っ込みまくって疲れているものね。ヴァイスを肩に乗せて話しながら歩いて、お店に帰ってきた。


「師匠、ただいまです~」


『帰ったぞ』


「おや、おかえり。どうだったかい?」


「ふふっ、魔石と宝石が沢山ですよ~」


「さすがだねぇ」


 師匠に必要な物を聞いて、師匠も使えるように錬金部屋に少し素材を入れておいた。

 今回の鉱山ダンジョンで黒の魔石がかなり手に入ったので、明日からは錬金マドラーを作り始めよう。それと来週の定休日には建国祭があるので、その準備をしていかないとだね。


 作る物はアイスディッシャー、スプーン、クッキーカップ、アイスかな。大量に準備してもアイテムボックスがあるから安心だしね。


「ヴァイス。今日もありがとうね、とっても楽しかったね」


『うむ。我も楽しかったぞ』


「素材も沢山で本当に助かるよ。明日からはまた建国祭の準備をするけれど、また美味しい物も作ろうね」


『うむ、楽しみにしているぞ!』


 ヴァイスのしっぽがご機嫌で揺れているので、思わずなでなでしちゃう。相変わらずヴァイスのもふもふの毛皮は素敵なのです。

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