第47話 鉱山ダンジョン2
宝玉に手を置いて、ささっと11階へ向かっちゃおう。あんまりここに居たくないしね。すぐに出て来ないと分かっていても、ちょっとドキドキするんだよね。
12階へ下りて少し歩いて行くと、通路の先に何かがちらっと見えた。なんか耳っぽいのが見えるけど、何だろう?
「ん、なんか耳が見える?」
『あれはカジルコンだな』
「カジルコン? きつね?」
ちらっと出て来たのは、見た目がキツネだった。鑑定してみると、金属の防具でもかじってしまうんだそう。
「こわっ!」
こっちを襲ってきたと思ったら、サメみたいな尖った歯をしていた。確かにあの歯だったら防具もかじれるよね。
私がかじられる前にヴァイスが倒してくれるから安心だけど、あれは怖いし可愛くない。カジルコンのドロップ品は黄の魔石(中)、ジルコンだった。
「ジルコン、綺麗だね」
『そうだな。だが、旨い物が出ないのはつまらんな』
「えっと、黒の魔石が欲しいからがんばって~! 美味しい物を作る道具が出来るかもしれないよ?」
『そうだったな! よし、次に行くぞ!』
「おー!」
なんとかやる気を取り戻してくれたので、先に進もう。フローデスベルナーで速く移動していると、一体どこにいたのかカジルコンが後ろから付いて来ていた。それもヴァイスが倒してくれるので、黄の魔石(中)が沢山手に入った。
13階に下りると、リスっぽい魔物がいた。鑑定してみると、ベリスと書いてある。今までの事を考えると、何かの鉱石の名前が入っていると思うんだけど、何だろうなぁ?
ヴァイスがベリスを倒すと、黄の魔石(中)、赤いベリルがドロップした。他のベリスを倒すと、青のベリルや色々な色のベリルが出た。
青のベリルはアクアマリン、緑はエメラルド、赤はレッドベリルと綺麗な宝石が多いんだよね~。
「なるほど。ベリルとリスだったのか」
『同じベリルなのに色々な色があるのが不思議だな』
「そうだよね~。でも、どれも綺麗だね」
13~14階はベリスが色々な所から出て来た。やっぱりダンジョンの魔物は好戦的だよね。ベリスはリスはリスでも、1メートルくらいの大きさなので可愛くない。それでもすばしっこくこちらを攻撃しようとしてくるから、普通の冒険者達にはやっかいだろうね。
私達の場合はヴァイスがさくさくっと倒してくれるから、沢山の黄の魔石(中)と色々な色のベリルが沢山手に入って嬉しいけれどね。宝石は何に使うか悩ましいから、帰ったら師匠に聞いてみよう。
15階のボス部屋はベリスとカジルコンが大量だった。大き目のベリスが居たからそれがボスなのだろうけれど、その周りにベリスとカジルコンが沢山居て普通の冒険者達に倒せるのか不思議だった。
『カノン、多分ここのダンジョンも、この階まで誰も来ていないんだと思うぞ』
「なるほど。だから尚更多いって事かな?」
『そうであろうな。カノン、目を瞑ってろ』
「はいっ!」
ヴァイスが大きめの魔法を撃つみたいなので、目をぎゅっと瞑って備える。少しすると、目を瞑っていても分かるくらい眩しかった。
『もう良いぞ』
ヴァイスの声を聞いて目を開けると、目の前にはドロップ品の山が出来ていた。あまりにも大量でちょっと引くわ。
「凄いね……」
『多いな……』
「うん」
とりあえず、見えている山のようなドロップ品をアイテムボックスに仕舞ったら、宝玉に手を置いて階段を下りよう。
次の16階へ下りて先に進んで行くと、黒い鳥が見えた。鑑定してみると、コッコヨウセキと書いてある。
「コッコヨウセキ? 黒曜石?」
『コッコヨウセキな』
「これは、コッコ肉と黒曜石が出るはず!」
『コッコ肉か、旨いよな。よし、倒すか!』
ヴァイスには流された気がするけれど、今までこのダンジョンの魔物は鉱石の名前が入っていたから、きっと黒曜石が出ると思うんだよね。ちょっとわくわくしながらヴァイスが倒してくれるのを待つ。
コッコヨウセキを倒すと黒の魔石(中)、コッコ肉、黒曜石がドロップした。
「やった、今回は当たったよ!」
『良かったな』
ただこのコッコヨウセキは、こちらを襲ってくる時に声が大きくてちょっとうるさい。この階で泊まったら絶対朝うるさいよね。
18階に下りて進んで行くと、見覚えのあるゴロゴロした岩が見えた。
「この階はロックゴーレムみたいだね」
『そうみたいだな。だが、アイアンゴーレムもいるみたいだぞ』
「えっ? あっ、本当だ!」
少し先にロックゴーレムと色が違い鈍い銀色の岩が見えた。鑑定してみると、アイアンゴーレムと書いてある。
ロックゴーレムのドロップ品は黄の魔石(中)、鉄鉱石で、アイアンゴーレムのドロップ品は黒の魔石(中)、鉄インゴットだった。
「また加工済み? インゴットになってるんだけど、なんで!?」
アイアンゴーレムからはなぜか鉄のインゴットが出るんだけど、なんでだろうね。本当にこの世界のドロップ品は不思議だよね。
と思っていたら、ヴァイスにジト目で見つめられていた。
「ヴァイス。どうしたの?」
『ドロップ品よりもカノンの錬金スキルの方がおかしいからな?』
「えっ、そんな事ないよ?」
『いやいやいや』
「えー? おかしいなぁ」
20階に下りてボス部屋に入ると、アイアンゴーレムが沢山いた。あんなにいたら倒すの大変だと思うんだけど!?
「ヴァイス。なんだか沢山いるよ!?」
『よし、倒すぞ!』
「がんばってー!」
『任せておけ!』
そういうとヴァイスは少し私の肩から少し上に飛ぶと、ブレスを吐いた。ブレスが当たったアイアンゴーレムはぽふんぽふん! と次々とドロップ品に変わっていく。見ていて面白いくらいにドロップ品が散らばっていく。
「私の錬金スキルより、ドロップ品よりヴァイスの強さが一番不思議だと思う」
『当たり前であろう。我だからな!』
「本当にヴァイスは凄いよね。ふふっ、こんなに小さくてもふもふして可愛いのに、強くて恰好良いだなんて素敵すぎるよね!」
『カノン。元々の我は大きいのだぞ!』
「そうだけど、普段小さいままだからなんとなく?」
基本的に私の肩とか頭に乗っているから小さいイメージなんだよね。世界最強で大きいドラゴンなのは分かっているのだけれど、可愛いイメージがなかなか消えないんだよね。
普段お腹をまるまるとさせて仰向けに寝ているからなのかな。
「いたっ!」
『何を考えたのだ!』
「まだ食いしん坊だなんて思ってなかったのにっ!」
『まだ? 近いことを考えていたであろう?』
「え、えへっ?」
お腹ぽっこりとか考えてもダメだったのか、しっぽでべしべしと叩かれた。でも、あのお腹ぽっこりも可愛くて私的には好きなんだけどね。
「そろそろお昼ごはんを食べてから先に進もうか?」
『よし、食べるぞ!』
「安全エリアで種を植えるから、少し待っててね」
『そうだな。今日は何の種を植えるのだ?』
「おにぎりとお味噌汁にしようかなと思っているんだよね」
『それは良いな』
おにぎりとお味噌汁の種を植えたら、お茶の準備をしようかな。こういう時に錬金マドラーが欲しいなぁ。温かいお茶もすぐに出来ちゃうんだよね。黒の魔石(大)を手に入れたら絶対に作るんだ!
お茶を入れている間におにぎりとお味噌汁の実が生ったので、ヴァイスと一緒に食べよう。
『うむ。我はこのおにぎり好きだぞ。肉巻きおにぎりも旨かったし、他の具材どれも旨いのだ』
「ふふっ、おにぎりは色々種類があるから楽しいよね」
『うむ!』
お昼ごはんをちょっとのんびり食べたら、先に進もうかな。
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