第36話 省略スキルで楽しく錬金!
今日もヴァイスと錬金部屋に向かう。ポーションを作ってから、錬金お玉に魔石を貼りつけよう。今日は黄と緑の魔石(大)を貼り付けようかな。
しかし、錬金お玉を作るのに魔石の大サイズが全種類いるなんて本当に大変だよね。それなのに師匠は、お水を汲むための木桶まで錬金木桶にしちゃうんだから凄いよね。
私もそのうち色々な物を錬金アイテムにしていきたいなぁ。ヴァイスが居たら魔石は大量に手に入りそうだし、とっても楽しみだ。
前にクッキーを作った時に、錬金棒で混ぜているだけでぽんぽんクッキーが出来ていったのがとっても楽しかったんだよね。
あんな風に日々の生活に取り入れられたら、毎日楽しそうだなって思うんだよね。
終わった後は、調味料の種を作ろうと思う。瓶に入れたお醤油と黄の魔石(小)、青の魔石(小)、白の魔石(小)を錬金釜に入れて蓋を閉める。
蓋の魔石に魔力を込めるとチーン! とレンジみたいな音がしてお醤油の実の種が出来た。
ここで、錬金レベルが10になったのでやっちゃいますよ~!
黄の魔石(小)とお醤油を省略して、錬金釜に青の魔石(小)、白の魔石(小)を入れて蓋を閉めて魔力を込める。
チーン!
蓋を開けると、お醤油の実の種が出来ている。次にまた青の魔石(小)、白の魔石(小)を入れて蓋をして魔力を込める。
チーン!
今度はおにぎりの実の種が出来た。何を作るかを考えて魔力を込めるときちんと作れるらしい。
『カノン? 魔石だけ入れて何を作ってるのだ?』
「ふふっ、錬金レベルが10になったから、お醤油と魔石を1個省略してみたよー!」
『それでどうやって作り分けているのだ?』
「ん~、お醤油の実の種! とかおにぎりの実の種! と思って、なんとな~く魔力を流していたら出来るんだよ」
『なんとなくで作るなよっ!』
「あはは、だってちゃんと出来るんだよ。錬金術(省略)スキルさん素敵すぎるよねっ!」
『いい加減、おかしいと気付けよ!?』
「うふふ~」
ヴァイスが突っ込みまくっているけれど、出来る物は出来るのだ! 楽しいからそれで良いと思うんだよ?
「でも、残念なのは一度作ってみないと省略出来ない事だよね」
『それくらいは努力しろ』
「はーい!」
良い子にお返事しておきます。だって、本当にそれくらいはやらないといけないと思うよね。
「あっ、ポーションってどうなるんだろう?」
『は?』
ポーションを作る手順は癒し草を刻む、錬金釜に刻んだ癒し草と蒸留水を入れて魔力を込める。レベルが5になってからは刻む手順を省略したんだよね。
「えっ、もしかして蒸留水だけで出来ちゃうの!? よし、いってみよー!」
『カノン、今度は何をやらかすつもりだ!?』
「うふふ、錬金釜さんに蒸留水を1本入れまーす! 蓋を閉めて~魔力を込める!」
チーン!
錬金釜の蓋を開けて鑑定してみると、回復ポーション(上級)が出来ている。
「わぁ、本当に出来た!」
『いやいや、蒸留水だろ……ってなんで回復ポーションになってるんだよっ!』
「あはは、癒し草を省略したー!」
『どっから癒し草の効果が来たんだっ!』
「えーと、錬金釜さんが頑張ってくれてる?」
省略スキルさん、楽しすぎます! まさか癒し草がなくても回復ポーションが出来るなんて思わなかった。
錬金釜に蒸留水を20本入れて蓋をして魔力を込める。
チーン!
蓋を開けて全部鑑定してみると、全部回復ポーション(上級)だった。毎日のポーション作りが簡単に終わってしまう。省略スキルさん凄すぎる!
今度はボウルに小麦粉、砂糖、塩、バターを入れて錬金棒でまぜまぜまぜ。
ぽんぽんぽんっ!
混ぜているとパンがぽんぽんと出来上がっていく。イーストと錬金釜に入れる手順を飛ばしたら、クッキーみたいにぽんぽんとお皿の上に出来上がっていくパン達。
『おかしいだろっ!?』
「イーストと錬金釜に入れる工程を省略したんだよ~。いやもう、楽しすぎるっ!」
『だろうな……我は驚きすぎて疲れたぞ』
その度に驚いて突っ込むからですよ。そういう物なんだから割り切って下さいね~。
クリーン魔法で綺麗にしたボウルに今度は、小麦粉、バター、砂糖、卵を入れて錬金棒で混ぜると、今度はチョコチップクッキーがぽんぽんと出来上がっていく。
今度は何も入れていないポットを出します。錬金棒でかちゃかちゃと混ぜると?
『カノン、何をやってるのだ?』
「おっ、出来たっ!」
『何も入れてなかっただろ?』
錬金棒を出して、カップにポットを傾けて行くと、とぽとぽ~と紅茶が出て来た。
『はっ!? なんでだよっ!!』
「お水と紅茶を省略しただけだよ~。ほら、お茶にしよう?」
ヴァイスに作ったチョコチップクッキーとお茶を出して、一緒にお茶を飲んで休憩をする。
「いやぁ、何もない所から紅茶を生み出したってこれぞ錬金術! って感じ?」
『違うだろっ!』
「いたっ!」
とうとうしっぽが叩かれた。さすがに調子に乗り過ぎたみたいだ。でも、色々考えると楽しくて楽しくて。出来るかもしれないと思ったらやってみたいでしょう?
「ついつい遊び過ぎちゃった」
『まったくだ!』
「ごめんごめん」
ぷんぷんと怒っていたヴァイスだけど、チョコチップクッキーの美味しさで怒りが和らいだみたいだ。こんなに楽しいと錬金術(省略)スキルのレベルが上がるのがとても楽しみだね。
それと色々な物を作って省略スキルが使えるようにしておかないとだね。
お昼を食べながら師匠に質問してみる。
「師匠、錬金道具って魔石(大)じゃないと出来ないんですか?」
「使い捨てだったら小でも出来るさね。中サイズだと4~5回使ったら壊れちまうね」
「なるほど。大だとずっと使えるんですか?」
「そうさね、大サイズだったら半永久的に使える感じだねぇ」
「凄いんですね!」
「それだけ大サイズの魔石に魔力が沢山あるのと、全種類使うからねぇ」
「確かに……私もヴァイスが居てくれなかったら大サイズは手に入らないですね」
「そういうことさね」
試しに使ってみるんだったら小サイズで作ってみるのも良いかもしれない。
「試すだけなら小サイズでも作れるんですね~」
魔石の中サイズも小サイズも沢山持っているから、試し放題出来そうだ。師匠から良いことを聞いたので、これからの錬金術生活が楽しくなりそうだね。
午後は師匠と交代してお店番をする。今日はパン屋のケイティさんがパンを持ってきてくれた。
「あっ、カノンいたね」
「ケイティさん、いらっしゃいませ」
「カノン、やっとあの酵母を使ったパンが美味しく作れるようになったんだよ。味見してくれるかい?」
「わぁ、ふっくら美味しそうです!」
「おや、ケイティじゃないか。パンが出来たのかい?」
「ああ、カノンとあんたに味見してもらおうと思ってね」
ヴァイスにも半分あげて味見をしてみると、ふわふわで甘みもあってとっても美味しいパンでした。やっぱり本職は違うよね!
窯で焼いているから外がさくっと中がふわっとして美味しいパンだった。
「ケイティさん、美味しいですっ!」
ヴァイスも夢中で食べているから美味しいのだろう。
「うん、これは美味しいさね。今度からこれも売るのかい?」
「今度からこれだけにしてみる予定なんだよ」
「それはまた思い切ったねぇ」
ケイティさんに、サンドにした物も美味しいと伝えておいた。ふわふわのパンがお店でも買えるようになるのはとっても嬉しいね。
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