第35話 ヒールリングを作ろう

 次の日、錬金部屋に行ってまずはポーションを作る。1時間くらいでポーションを作り終わるので、そこからは自由に色々作る時間だ。考えても分からない時とかは師匠に聞けるので、今のこの環境はとてもありがたい。


 今日はまずはお玉に魔石(大)を貼り付けよう。何日かに分けて作業をする予定なので、今日はまず2個貼り付けようかな。


 青と赤の魔石を出して、心を落ち着けながらゆっくりと貼り付けていく。大サイズなので結構時間が掛かるけれど、集中力を切らさないようにして進めていく。


「ふぅ、なんとか終わったよ~」


『お疲れ様だ』


「とりあえず2個魔石を付けたから、また明日2個付けよう」


『おう、頑張ると良いぞ』


 次は何を作ろうかな。アイテムボックスの中を確認しながら何を作るか考えていく。そういえば、ダンジョンでクリーンとヒールの魔石が出たんだよね。これを付ければ魔法が使えるようになるんだよね。


「ねぇ、ヴァイス。ヒールの魔石でヒールが使えるようになるアクセサリーが作りたいんだけど、どんなのが良いかな?」


『ふむ、ヒールか。だったらリングとかが良いのではないか?』


 ついドラゴンのヴァイスに相談してしまったけれど、良く答えてくれたな。さすがイケメンドラゴンです!

 ちなみにリングなら、魔石が自分の肌にずっと当たっているので、いつでも魔法が使えるのだって。他のアクセサリーだと、魔石に触っていないと魔法が発動出来ないらしい。


 リングにするなら、ミスリルで凝ったリングを作れないかな。シンプルなリングだとちょっと寂しいし、可愛くないんだもん。


 ミスリルを錬金釜に入れて、ピンキーリングに加工をする。2本の細めのラインが交差しているリングを作った。これにヒールの魔石を魔力で貼り付けたら良いのかな。


「リングが小さいから魔石を貼りつけるのがちょっと難しいかも」


『確かに小さくて難しそうだな』


 ピンキーリングが小さいので、魔石を貼りつけるのがとても大変だったけれど、なんとか貼り付けられた。しかし魔石が大きいから、すごく不格好なんだけど大丈夫かなと凄く心配になるね。


 錬金釜にピンキーリングを入れて蓋を閉めて、椅子に座ったら魔力を流す。魔石が大サイズと同じくらいだったから、やっぱり魔力が凄く必要みたいだ。


「うわぁ、やっぱり魔力がかなり必要だね」


『我の魔力も遠慮なく使うが良いぞ』


「うん、ありがとう」


 チーン!


 1時間以上魔力を流して、なんとか完成したみたいだ。錬金釜の蓋を開けてみると、表面には魔石が見えないけれど、内側に魔石が小さく見える。

 鑑定してみると、ヒールリングと書いてある。魔石に触れているとヒールが使えるようになると説明書きがされている。


「うぅ、ヒールを試してみたいのに、魔力がからっぽだよ~」


『そうであろうな。今回は結構魔力を使ったみたいだからな。早く魔力回復ジュースでも飲むと良いぞ』


「あっ、そうだね」


 魔力回復アイスティーと魔力回復クッキーで魔力を回復させよう。ヴァイスにも出してあげて一緒にお茶にする。


「これで私もヒールの魔法が使えるよ~」


『そうだな。使える魔法が増えて良かったな』


「うんっ。でも攻撃魔法はないけどね~」


『それは我がいるから必要ない』


「うん、いつも頼りにしてます!」


 魔力が回復したら、ヒールを試してみよう。怪我して無いけど、良いかな。


「ヒール!」


 まずは自分に掛けてみたけれど、特に怪我をしていないから分からない。だけど、ちょっとだけ魔力を使った感じはあった。

 ヴァイスにも掛けて見ちゃおうかな。


「ヒール!」


『ん? 我は怪我などしとらんぞ』


「でも、出来てる?」


『ああ、出来ているぞ』


「やったね!」


 さすがに怪我人を探す事はしないけれど、誰かが困っていたらすぐに治してあげられるのは嬉しいね。これはずっと付けておこう。


「ふふっ、魔法が使えるってなんだか嬉しいな」


『良かったな』


 ちょうどお昼ごはんの時間にお客様がいなかったので、師匠と一緒に3人でご飯を食べる。


「師匠。ヒールリングが出来たので見て下さい」


「ヒールリング?」


「ダンジョンで白の魔石(ヒール)が取れたんですよ~」


「……カノン。国の錬金術師になりたいかい?」


「えっ? それはちょっと堅苦しくて嫌ですね~。のんびり好きな物を作りたいです」


「だったら、これは表に出さない方がいいさね」


 確かにこのヒールの魔石はあんまり出なかったもんね。あれだけ沢山倒して4個しか白の魔石(ヒール)が出なかったことを考えたら、確かにあんまり出しちゃいけない気がしてきた。

 私が持っているのは問題ないみたいなので、お店では売っちゃダメって言われました。さすがに国の錬金術師なんてなりたくないので、師匠の意見に賛成です!


 お昼ごはんのお片付けが終わった後は、お店番をして過ごす。今日はどんなお客様が来るかな。

 ヘルミーナは今頃ダンジョンかな。携帯食がどうだったか、今度感想を聞けると良いなぁ。


「ん!」


「ハンスさん、いらっしゃいませ」


 今日はくま獣人のハンスさんが来てくれました。あのピコピコ動く耳が、癒されポイントですね!


「おや、ハンスじゃないかい。今日はお勧めに良いのがあるんだよ」


 師匠はハンスさんに、回復ジュースと回復生チョコとおにぎりの種の説明したら、ハンスさんの耳のピコピコが速くなった。喜んで貰えて良かった。


「また種もいくつか作って置かないとですね~」


「そうさね~。やっぱり依頼先で美味しく食べられるのは有難いもんさね」


「ふふっ、喜んで貰えるのがとても嬉しいです」


「錬金術師はそれが重要なのさ」


「はいっ!」


 確かに喜んで貰えるようにっていうのは大事だよね。種もダンジョンで問題なく仕えたから、人に渡しても大丈夫になったんだよね。

 今日の夜はまた回復系のアイテムの在庫を増やしておこうかな。

 


 お夕飯を食べた後、錬金部屋に向かう。まずは回復ジュースを作ろうかな~。

 今日は省略スキルを作って作っちゃうぞ! 刻んだ癒し草、蒸留水を入れて、まずはリンゴ風味から作ろう。蓋を閉めたら、ぽん!


「えっ!?」


 魔力を流してないのにポーションが出来た。錬金釜の蓋を開けて鑑定してみると、リンゴ風味の回復ポーション(中級)と書いてある。


『ポーションを作っているのか?』


「うん。リンゴ風味を作ったんだよ」


『リンゴ、入れてなかったよな?』


「うん。省略したからねっ!」


『相変わらずおかしなスキルだな』


「でも、魔力を流す前に出来たんだけど?」


『ああ、カノン。錬金術のレベルが10になってるぞ』


 ステータスを確認したら前回7だったのに、いつの間にか錬金スキルが10に上がっていた。最近色々作りまくっていたからか、レベルが上がったみたいだ。


「えっ? あっ、本当だ! だから魔力を流すのも省略されたんだね!」


 その後もリンゴ、ブドウ、オレンジ風味の回復ポーションと魔力回復ポーションを省略スキルでぽんぽんと次から次へと作っておいた。

 作ったポーションはアイテムボックスに仕舞っておけば劣化しないしね。


 後はおにぎりの種、お肉サンドの種、パンの種、スープの種を省略スキルで5個ずつ作っておいた。魔石(小)は沢山あるので、素材を全部省略して作ったよ。省略スキル楽しすぎるね。

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