第24話 海ダンジョン2
16階に下りると、とげが付いている黒い物体が動いているのが見える。でも、動きが以外と速い?
「ウニ?」
16階の階段を下まで下りて見えたのは、とげとげで黒いウニだった。だけど、何かがおかしい?
「どうして、ウニがあんなに速く動くんだろう? えっ、なんで猫みたいな耳としっぽ!?」
鑑定してみると、ウニャと出てる。まさかウニと猫が合わさってるなんて!! しかも、このウニャは人を見ると近寄って飛び掛かってくるらしい。
「怖い……でもウニ欲しい!」
『旨いんだな! よし、倒すぞ!』
「はい、ウニが食べたいです!」
日本にいた時は高くてなかなか食べられなかったけれど、ヴァイスだったらすぐに倒せるから沢山食べられるはず! 全力でヴァイスを応援しちゃうよ。
ヴァイスがウニャを倒すと、青の魔石(中)、木箱入りのウニが出て来た。
「だからなんで加工済みなのー!?」
『何かおかしいのか?』
「えっと、うん。今更だよね~、食べやすいから良しとしようか」
『旨いのか?』
木箱のウニをヴァイスに一口食べさせてあげてから、私も味見をする。うん、濃厚な味が美味しい。
『ふむ。トロっとして濃厚だな。我は好きだぞ』
「また丼の美味しいのが出来るよ!」
『何っ!? そいつは良い、カタリーナも喜ぶな。沢山倒して帰るぞ!』
海鮮丼が豪華になりそうで、お家に帰るのがとっても楽しみになったね。ヴァイスのやる気に火が付いたので、さくさく倒して18階への階段まで進んで行く。
今まで見たことのない程の木箱に入ったウニを手に入れた。ご機嫌で18階へ下りて行く。
18階へ降りているときに上から見てみると、すごいスピードで泳いでいる魚が見えた。鑑定してみると、オオマグーロと書いてある。
「んんっ!? マグロっ!」
『む、旨いのだな!』
「とっても美味しいよっ! ヴァイス、お願いしますっ!」
『おうっ、任せておけ!』
絶対に美味しいやつだよね。しかし、オオマグーロって大マグロ?
まあ、美味しければ何でも良いけどね~。
ヴァイスがオオマグーロを倒すと、青の魔石(中)と切り分けられたマグロの冊が沢山だった。
「また加工済み!?」
ちょっと気になるから、マグロの冊を鑑定してみると……大間産のマグロって書いてある。まさか大マグロじゃなくて大間産のマグロなのっ!?
「この世界の大間はどこなのよ!」
『カノン、どうした?』
「大間って場所あるの?」
『なんだそれは? 我はしらんぞ』
「そりゃそうだよね。ま、まあ、美味しいってことで気にするの止めよう」
気を取り直して、先に進もう。ヴァイスが倒して、私がフローデスベルナーを使ってアイテムを回収してって連携が上手くなっている気がする。
19階でもオオマグーロを倒しながら進んで、20階のボス部屋前に着いた。
「なんだか、フローデスベルナーを使っているから、本当に進みが早いね」
『そうだな。頑張れば今日中にダンジョンクリア出来そうな気がするぞ』
「あれ? ここって何階までなの?」
『床を鑑定してみると分かるぞ』
「そうなんだ」
急いで鑑定してみると、ここのダンジョンは海ダンジョンという名前で30階までだと書いてある。
今が20階だから、後10階だね。
「ヴァイスが大丈夫だったら、今日は行ける所まで行こうか」
『我はまだいくらでも行けるぞ』
「ふふっ、さすがヴァイス。頼りになるね!」
今日は行ける所まで行ったら、明日街でお買い物をする時間も取れる気がするね。20階のボスは大きなオオマグーロとオオマグーロの群れだった。
「わぁ、マグロがいっぱい!」
『我が全部食べてやるぞ!』
「倒すじゃなくて食べるんだね」
『むっ!? ち、違うぞ。我が倒すと言っただけだ!』
間違えたんだね。さすが食いしん坊ヴァイスだね。
「いたっ!」
食いしん坊って思うとなぜか頭をしっぽで叩かれるんだけど、なんで分かるんだろう。不思議だね。
『カノン、顔に出てるぞ!』
ヴァイスにジト目で睨まれた。そんなに顔に出てたかなぁと思っていたら、ヴァイスが大魔法を撃って視界が真っ白になった。
「ヴァイス、見えないよー!」
『ふんっ』
ヴァイスが事前に教えてくれなかったから、目の前がちかちかしてなかなか見えない。少しして、やっと落ち着いて目の前が見えるようになったら、マグロの冊の山だった。
「すごい……多すぎでしょ!?」
『ボスのはきっと旨いぞ?』
「あっ、それはいります! 食べますー!」
ヴァイスにやられっぱなしな気がするけれど、美味しいマグロの前ではどうしようもないので気にしないっ!
青の魔石(大)と沢山の青の魔石(中)が手に入ったので、色々作れそうだ。
「魔石も食材も手に入るって、ダンジョンって美味しいね!」
『普通は違うと思うがな』
「そうかな? でも、美味しい物沢山だよ?」
『そうだな……』
21階に下りると、エビが泳いでる。ただ、このエビが大きい。伊勢海老なんて目じゃない大きさで、絶対近づいたら私より大きいよ。
「エビ。美味しそうだけど、大きすぎて近づきたくない」
『はっ!? これも食べるのかっ!?』
鑑定してみると、名前がフライエビ。確かに空泳いでいるみたいだけど、マグロも泳いでたよね?
「フライエビ。エビフライ出る? 出ちゃうのっ!?」
『フライエビであろう?』
「お料理にエビフライってあるんだよ~!」
『倒してみたら良い』
そう言った次の瞬間にはフライエビがぽふん! とドロップ品を落として消えた。さすがヴァイス、早いです。
フライエビのドロップ品は、青の魔石(中)、5尾のエビ、5本のエビフライだった。どっちもちゃんとお皿に乗ってるんだけど、なんでだろうね?
「エビフライもエビもどっちもきたーっ!」
『カノン、味見だ』
ヴァイスがソワソワしているので、ソースを掛けてあげてからヴァイスにあげる。私も味見に1本食べると、さくっとして身がとっても甘くて美味しいエビフライでした。
「ん~~! 美味しいっ!」
『うむ。これは旨い! さくっとして中はぷりっとして甘くて、これは良い!』
ヴァイスも気に入ったみたいなので、沢山倒して貰おう~!
エビのアヒージョ、エビチリ、エビマヨも良いね。帰ってお料理を作る物が沢山あって、何から作るか迷っちゃうけれど、とっても楽しみだ。
22階もフライエビだったので、本当に沢山のエビとエビフライがアイテムボックスに仕舞われた。
23階に下りると、今度は大きなカニだった。
「カニ、きたーっ!!」
『カノン、あれはジャイアントデスシザーだったはずだが?』
鑑定してみると、ジャイアントデスシザーって書いてある。でも、どうみてもカニだよね。ただ、お家くらいに大きいけれど。
「ヴァイス、あれは倒せるの?」
『問題ないぞ』
「倒してみて貰って良いかな? ドロップ品がみたいです!」
ヴァイスが倒してくれて、ドロップ品が出た。ドロップ品は青の魔石(中)、沢山のタラバカニの足、沢山のズワイガニの足、カニ味噌が入ったズワイガニの甲羅だった。
「この世界のドロップ品は本当に親切だよね。加工済みでドロップしてくれるとか本当に助かるよね」
『加工済みなのか?』
「うん、だってこのカニ味噌なんてすぐに食べられそうだもん」
カニの足も片面削って身を取り出しやすいようになっていて、かなり親切なんだよね。鑑定してみると、ズワイガニは生でも美味しく食べられるらしいのでヴァイスと一緒に味見してみた。
『ん!? なんだ、この甘みのある身は! あんな外見なのにこんなに旨いのかっ!』
「ふふっ、甘くって美味しいね~」
『よし、カノン。行くぞ!』
「おー!」
23,24階でまたヴァイスと2人で張り切ったら、凄い数のタラバガニとズワイガニの足がアイテムボックスに仕舞われる事になった。しかし、カニ味噌は好みが分かれるからどうだろうなぁ。
今日は25階のボスを倒して安全エリアで休む事にした。25階のボスは、ただでさえ家くらいあったジャイアントデスシザーがさらに大きくなっていた。さすがに巨大なのをアップで見たくないので、視線はちょっと逸らしておいた。
ドロップ品は青の魔石(大)、沢山のタラバガニの足、沢山のズワイガニの足、ズワイガニの甲羅に入ったカニ味噌だった。
とりあえず、安全エリアに移動をしてからお夕飯を作ろう。今日はカニとエビを焼こう! 網がないから、フライパンで焼こう。
またコンロがないから、ヴァイスに持って熱して貰って焼いていく。でも、やっぱりやけどをしそうで見ていてちょっとドキドキする。
フライパンでバーベキュー気分でヴァイスの口に入れてあげると、大喜びだった。やっぱりエビとかカニは美味しいよね~。
『カノン、なくなったらまた来るぞ!』
「そうだね。でもいつまで経ってもなくならなそうだよ?」
『確かに、かなり捕った気がするな』
山積みになるくらいありますからね? ギルドに少し売って、またそのうち遊びに来られるようにした方が良いかもしれないね。
ヴァイスにエビとカニの他にイカも焼いてもらって一緒にご飯を美味しく食べたら、大きくなったヴァイスに抱っこして貰い休む。
「ふふっ、ふわふわで気持ちいい~! ヴァイス、今日も沢山ありがとうね。明日もお願いね」
『うむ。任せておけ』
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