第21話 フローデスベルナーを作ろう

 次の日朝ごはんを食べている時に、師匠に気になっていたことを聞いてみる。


「師匠。錬金棒ってやっぱり錬金釜で作るんですか?」


「もちろんさね」


「お料理でも錬金術が使えるって事ですよね?」


「そうさね。どうしたんだい?」


「錬金お玉も欲しいなと思って」


「なるほどねぇ。だが、錬金道具は作るのは大変なんだよ」


「そうなんですか?」


「ミスリルと魔石の大サイズが全種類必要なんだよ」


「えぇぇっ!? そ、それは大変ですね。魔石の大はまだそんなに持ってないから作れないかなぁ」


『魔石の大か。今何色を持っているんだ?』


 今持っているのは何だろう。アイテムボックスの中身を思い浮かべて大きいサイズの魔石を調べてみる。ワイバーンの緑の魔石、大きなスイートぽてとんの黄の魔石、大きなコックルミの白の魔石だけかな。


「んっと、緑、黄、白だけかなぁ」


『なるほどな。青は海に行ったら手に入るかもしれんぞ』


「あっ、そうだね!」


 後は赤、青、黒の魔石の大サイズを揃えたら錬金お玉が作れるね。


「でも、ミスリルはどうするんだい?」


「ミスリルはもう持ってるんですよ~」


「あるのかいっ!?」


「ヴァイスがいた所に落ちてたんですよね~」


「なるほどねぇ」


 ミスリルは魔力が良く通るらしいので、自分の装備を作るんだったらミスリルで作った方が良いと教えて貰った。でも、私は戦わないからあんまり必要じゃない気がするけれどね。

 でも、ヴァイスの邪魔にならないようにある程度は素早さとか必要なのかな? と思ってヴァイスに聞いてみると、いつものように問題ないと言ってくれた。


 まぁ、のんびり魔石を集めよう。その間に色々作れるようにしておこう。まだ全種類大サイズを貼り付けるのはかなり大変だと思うから、沢山練習して錬金術レベルもあげておこう。



 ご飯のお片付けが終わったら、ヴァイスと一緒に錬金部屋へ向かう。今日もアクセサリーを作ろう。


 昨日黒の魔石で荷物が軽く感じられるリングを作ったから、今日は黒の魔石(小)で力が少し上がるのが出来ないか試してみたかったんだよね。


 リングに黒の魔石(小)を魔力で貼り付けてから錬金釜に入れる。蓋にある魔石に魔力を込める。


 チーン!


 錬金釜の蓋を開けて鑑定してみると、力が少し上がるリングが出来た。後はボタンにも魔石を付けてリングと同じ付与をしていく。

 ボタンも、青、赤、白、黒の魔石で作れたら、靴を取りに行こう。ヴァイスを肩に乗せて、師匠に一言言ってからお店を出て靴屋さんへ向かう。


 靴屋さんへ行くと、頼んでいた靴が出来上がっていた。試しに履いてみると、すごくフィットして気持ちの良い靴だった。これだったら、どこへ行っても大丈夫そうだ。

 買った靴を大事に抱えてお店に戻ると、さっそく魔石を貼りつけよう。


『カノン、速くなる靴を作るのか?』


「うんっ! どうせだったら速い方がいいから、ワイバーンの緑の魔石(大)を使っちゃおうと思うんだけど、どうかな?」


『いいと思うぞ。カノンが速く動けたらダンジョンとか色々楽しめそうだ』


「うんっ」


 ワイバーンの緑の魔石(大)を買ってきた靴に貼り付けて行く。大サイズなので貼り付けるのが結構大変だけど、頑張っちゃうぞ~!


 ワイバーンの魔石を貼り付け終わった後は、コックルミの白の魔石(中)を貼り付けよう。どんな風に速くなるのかすごく楽しみだなぁ。

 貼り付けた所で大分疲れてしまったので、錬金釜に入れるのは夜にしよう。


『カノン、大丈夫か?』


「うん、ありがとう。さすがに錬金釜に入れるのは夜にしたよ~。そろそろお昼ごはんにしようね」


『うむ、それはいいな』


「あっ、ちょっと待ってね。パスタ作ろう!」


 アイテムボックスから小麦粉、オイル、塩、卵を出して錬金棒で混ぜて生地が出来たら、錬金釜に入れて魔石に魔力を込めてパスタを作る。


 チーン!


 錬金釜の蓋を開けると、生のパスタが出来ている。これは良いね!

 キッチンへ行ってアイテムボックスにトマトが大量にあるから、トマトソースを作ろう。コンソメと塩、砂糖で味付けをして、茹でたパスタと絡めたら完成~!


 ちょうどお店にお客様が居なかったので、師匠と一緒にご飯を食べる。


「この長細い麺は不思議だねぇ。もちっとしてるのにしっかり噛み応えもあって、トマトのソースが良く絡んでいて美味しいねぇ」


『我もこのパスタ好きだぞ!』


 でも、パスタはちょっとヴァイスには食べにくかったかな。口の周りも身体にもトマトソースが飛んでいる。今度は食べやすくペンネにしよう。


 食べ終わってお片付けも済んだら、お店番をしよう。今日は誰が来るのかな?

 お店の商品を鑑定したり、錬金術の本を読んだりしてお店番をしていると、誰かがドアを開けた。


「いらっしゃいませ」


「カノン! あれ、凄いよっ!」


「ベティーナさん!」


「フードドライヤー良いねぇ。天気の心配もなく美味しく出来たよ!」


「わぁ、良かったですっ!」


 ベティーナさんはジャーキーの味見を持ってきてくれた。ヴァイスと味見してみると、とっても美味しい。


「美味しいですっ!」


「でも、カノンのあの味が出ないんだよねぇ。なんの調味料を使っているのか教えて貰えないかい?」


「良いですよ。でも、残念ながらここら辺じゃ売ってないかもです」


「そうなのかい。それは残念だねぇ」


 ベティーナさんにお醤油を見せてみると、やっぱり知らないみたいだ。もっと増やさないと分けてあげられないんだよね。

 どこかでお醤油が作られていると良いんだけどなぁ。


「でも、これも凄く美味しいですよ」


「本当かい。それは良かったよ」


『うむ、旨いぞ』


 ヴァイスも気に入ったみたい。ベティーナさんはフードドライヤーのお金を支払って帰って行った。気に入って貰えて良かった。


 お夕飯を食べた後は、フローデスベルナーを作る事にする。錬金釜に入れて蓋を閉めると、手を置いて魔力を込める。

 魔石の大サイズを使っていることもあって、なかなか錬金が終わらない。ヴァイスの魔力も少し借りてなんとか錬金出来た。


 蓋を開けて鑑定してみると、フローデスベルナーと書いてある。


「やったぁ。出来たよ!」


『さすがカノンだな』


「でも、ヴァイスの魔力がなかったら出来なかったよ。いつもありがとうね!」


『我にしたら大した魔力ではない。任せておけ!』


 さすがに家の中で試せないので、定休日に試してみよう。

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