第20話 省略スキル解禁!?
朝ご飯をささっと食べたらヴァイスと一緒に錬金部屋へ向かう。
今日はリングとボタンを中心に作る予定。棚からリングとボタンを10個ずつ持ってくると、アイテムボックスからダンジョンで取って来た小サイズの魔石を取り出す。
小サイズは青、赤、黄、緑、黒、白と全種類の魔石が揃っているからどれでも作れるね。緑は少し素早さが上がるのが作れたよね。
お店で鑑定したのを思い出しながら、何の効果を付けるかを考える。
青はお水を出せる。赤は少しだけ火を出せるというのが多かったかな。緑の魔石の少し素早さが上がるのを考えたら、魔法の威力を少しでも上げられないかな。
リングに赤の魔石(小)を魔力で貼り付けて錬金釜へ入れる。蓋の上の魔石に手を置いて魔力を込める。
錬金釜の蓋に×マークが出た。失敗したみたいだ。
「うーん、威力が上がるのは出来ないのかなぁ」
『そうみたいだな。蓋にでかでかと×マークが出てるな』
「うん。これ、結構ダメージが大きいよね」
『まあ、失敗はするものだ』
「そうだよね」
とりあえず、少しだけ火を出せるようにするリングを作ろう。リングに赤の魔石(小)を貼り付けてから錬金釜に入れて、魔力を込めると今度はきちんど出来たみたいだ。
錬金釜から取り出して鑑定してみると、火が少し出せるリングと書いてあった。
青の魔石(小)では少しだけ水が出せるリングを作る。緑の魔石(小)の少し素早さの上がるリング、白の魔石(小)のヒールの回復量を増やすリングを作った。
さすがに魔石を魔力で貼り付けるから、ちょっと疲れてきたね。ちょっと休憩しよう。お茶を入れてから、チョコチップクッキーを出してヴァイスと一緒にお茶にする。
『カノン、なんだか作業が物凄く早くなってないか?』
「えっ、そうかなぁ? あっ、でもそういえば魔力をあんまり使っていないかも?」
『あっ! 錬金術レベルが5に上がってるぞ!』
「本当!? 嬉しいっ!」
自分でも鑑定してみると、錬金術レベルが5に上がっている。これで工程か材料を1個省略できるんだよね!
「ん? 1個工程か材料を省略?」
『どうした?』
「も、もしかして!」
急いでリングと青の魔石(小)を錬金釜に入れて蓋を閉めて魔石に魔力を込める。
チーン!
錬金釜を開けて鑑定してみると、少し水が出せるリングが出来ている。
「おぉ! 魔石を貼りつける工程を省けた! 簡単になったよー!」
『いやいやいや、それはおかしいだろっ!?』
「だって、魔石を貼りつけるって工程を省略したんだよ、おかしくないでしょ?」
『そ、それはそうだが……いいのかそれで……』
「ふふっ、便利になったね~」
『便利……』
なんだかヴァイスが脱力しているけれど、出来るようになったんだから良いんだよ。もしかして、レベルが10になったら魔石も要らなくなるんでは!?
それはちょっと楽しそうだ。錬金術のレベル上がるように頑張ろう!
「よし、黒の魔石(小)も作ってみようかな」
錬金釜に黒の魔石(小)とリングを入れて蓋を閉める。蓋の魔石に魔力を込める。
蓋の上に×マークが出た。
「うっ、失敗した。なんでだろう?」
『どうした?』
「錬金失敗したみたいなんだよね」
『ふむ。もしかして一度作らないと省略出来ないのではないか?』
「あっ、そうかもしれない! さすがヴァイス、ありがとう!」
お礼を言うと、リングに黒の魔石(小)を貼り付ける。黒だとイメージ的に闇とか重力?
あっ、荷物が少し軽く感じるとか力が強くなる?
魔石を貼りつけたリングを錬金釜に入れて魔力を込める。
チーン!
「あっ、出来た!」
錬金釜から取り出して鑑定してみると、荷物が少し軽く感じられるリングが出来た。
次は錬金釜に黒の魔石(小)とリングを入れて蓋を閉めて魔力を込める。
チーン!
蓋を開けて鑑定してみると、荷物が少し軽く感じられるリングが出来ている。
「あっ、出来た。やっぱり一度は作らないと省略出来ないって事だね」
『そうだな』
「でも、それでも凄く助かるね!」
師匠に検品して貰っている間に、調理器具を売っているお店で網を買って来よう。木材はこの前多く買ったから足りるはず。
「ん? ちょっと待って!」
『どうした?』
「網、なくて出来るんじゃない?」
『はっ?』
急いで錬金部屋に戻ると、錬金釜に木材を入れて蓋を閉めてまずは網が付いているフードドライヤーの箱を作ろう。
蓋に魔力を込める。
『さすがにそれは出来ないのではないか?』
「出来たらラッキーかと思って!」
チーン!
「あっ、出来た? 中はどうかなぁ」
錬金釜からフードドライヤーの箱を取り出して中を見てみると、きちんと網が付いていた。
「出来たー!」
『うそだろっ!?』
「網を省略したんだよー!」
『だから材料はどっから来たっ!?』
「だってヴァイス、錬金術だもん! 魔法って凄いよね~」
『違うだろっ!!』
そうは言うけど、省略があるんだから出来るんだよ~。いやぁ、魔法とか錬金術って素敵!
『カノン、おかしいからな?』
「ヴァイス、難しい事ばかり考えてると……はげるよ?」
思わずそう言うと、ヴァイスにしっぽで攻撃をされた。
「いたたっ、痛いってば~」
『カノンが失礼な事言うからだろっ!』
「えへへ、ついつい~。ってだから痛いってば~」
しっぽでべしべしと攻撃をするヴァイスに、ジャーキーを1枚口に入れてあげてごまかしてみる。
メンクーンの緑の魔石(中)を2個、ボアーモンの赤の魔石(中)を1個貼り付けよう。どれか貼り付けないでも出来そうだけれど、ベティーナさんに渡す物だからきちんと作ろう。
魔石を貼り付け終わったら、箱を持ち上げて錬金釜に入れる。
ぽふん!
「えっ!?」
『はぁっ!?』
「ヴァイス、錬金釜に入れただけ……だよね?」
『そうだな……』
「……なんで完成してるのーーーー!?」
『我は知らん! カノンの規格外っぷりが酷いな』
「ちょっ! 酷いって言わないでー!」
『だったらなんで錬金釜に突っ込んだだけでなんで完成するんだよ、おかしいだろっ!?』
「おかしい……よね~」
なぜか錬金釜で魔力を込める作業が省略されたみたいだ。そんな省略のされ方をするとは思わなかったよ?
「と、とりあえず……出来たからお肉屋さんへ行ってこようか」
『そ、そうだな』
ヴァイスがちょっと遠い目をしてるけれど、私もしたいんだよ?
アイテムボックスにフードドライヤーを仕舞って、師匠に声を掛けてからお店を出てお肉屋さんへ向かう。
「こんにちは~」
「おや、カノンじゃないかい。どうしたんだい?」
「フードドライヤーが出来たので、持ってきました」
「もう出来たのかいっ!?」
お店の中に通して貰うと、フードドライヤーをアイテムボックスから取り出す。それと試作で作ったジャーキーも出してベティーナさんと旦那さんのルーカスさんに味見をして貰う。
「美味しいねぇ。これをこのフードドライヤーで作ったのかい?」
「はい、味を付けたお肉をこの中の網に並べて、本体横の魔石に触って貰えれば温風が出て乾燥してくれます」
「これは凄い! 天気を気にしなくてもいいのかっ!」
「はいっ!」
ルーカスさんもベティーナさんも喜んでくれた。まずは使ってみて貰って感想を聞いてみよう。代金はそれから貰う事になっているので、そのままお店に帰って師匠とお店番を交代した。
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