第18話 発酵器を作ろう!

 ダンジョンへ行った次の日、朝ごはんも終えてからヴァイスを肩に乗せて錬金部屋へやってきた。今日は発酵器を完成させたい!

 後、フードドライヤーも作りたいよね。木材を買ってくれば箱も作れるんじゃないかと思うんだよね。


 まずはポーションを作ってから考えよう。蒸留水を作ってから癒し草の葉と根っこを刻んでいく。錬金釜に材料を入れて、蓋を閉めると魔力を込めてポーションを完成させる。

 大分慣れてきて1回で10本ずつ作れるようになったんだよ!


 20本作り終わったら、次は発酵器を作ろう。外側の緑の魔石(中)と、内側の赤の魔石を貼り付けよう。

 うーん、発酵器はそれほど熱くならなくていいんだよね。もしかして、赤の魔石(小)でいいのでは?試してみようかな。


 箱の内側に指先ををボールペンみたいにして魔力を流して貼り付けていく。


『カノン、今日は発酵器か?』


「うん、そうだよ」


『カノンの作るパン、うまかったから楽しみだな』


 私が作るんだったら錬金釜でさくっと作れるんだけどね。パン屋さんでも、美味しいパンが買えたら嬉しいもんね。発酵器で、酵母が作れるようになるといいな。


 魔石を張り付けた箱を錬金釜に入れると、やっぱり明らかに箱の方が大きいのに、するするっと入っていくのが不思議すぎる。便利だから良いとして、蓋を閉めて魔力を込めよう。


 冷蔵庫ほど魔力を使わないで完成した。やっぱり赤の魔石を小サイズにしたからかな。錬金釜から発酵器を取り出して試作してみようかな。


 師匠に聞くと、キッチンにある空き瓶を使って良いというので、煮沸消毒をした瓶に、リンゴとお水とお砂糖を入れて発酵器に入れる。発酵器の横にある魔石に手を触れると発酵器が作動した。

 このまま1日に1~2回混ぜて、5日くらい発酵器にお任せすると出来るはず!


『カノン、それだけで良いのか?』


「うん、そうだよ。後は発酵器さんとリンゴさんが頑張ってくれるよ~」


『この後は何を作るのだ?』


「フードドライヤーを作る為の木材と網が欲しいんだよね」


『よし、街へ行ってみるか!』


「うんっ」


 ヴァイスを肩に乗せて師匠に一言声を掛けてから、お店を出て木材を売っているお店に行ってみよう。網は調理器具が売っているお店にあると良いなぁ。売ってなかったらアイテムボックスに入っているロックゴーレムから出た鉄鉱石で作っちゃおう。


 材木屋さんに着くと、熱に強い木材を教えて貰って多めに買っておいた。アイテムボックスに仕舞って調理器具を売っているお店に行ってみよう。


「熱に強い木材があって良かったよ~」


『そうだな。フードドライヤーっていうのは何が出来るのだ?』


「この前作ったジャーキーを簡単に作れるようになるんだよ」


『それは旨いな!』


「フードドライヤーは美味しくないんだよ~」


『わ、分かってるぞ!』


「ふふっ。いたっ!」


 笑っていたらヴァイスにしっぽで叩かれた。ちょっと痛いんだよ?

 そんなことをして歩いていたら、調理器具を売っているお店に着いた。中に入ってみると、色々な調理器具が売っている。ついでにお鍋も少し買い足そうかな。網も大きさが違いで何種類もあったけれど、使いやすい大きさで5枚購入した。


 これでフードドライヤーの材料が買えたので、お店に帰って早速作ってみよう!


『カノン、楽しそうだな』


「うんっ! 新しい物を作るのは楽しいんだよ」


『そうか。カノンが楽しそうで何よりだ』


「ふふっ、やっぱりヴァイスはイケメンドラゴンですね~」


『だから、なんなんだイケメンドラゴンってのは!』


「素敵って事ですよ~」


『そ、そうか』


 お店に着いた時にまだお昼まで時間があったので、まずはフードドライヤーの形を作っちゃおう!

 網は買えたから、錬金釜に木材と網5枚を入れる。蓋の魔石に手を乗せて魔力を込めると、錬金釜の中でぐるぐる回っている。


 本当にレンジみたいで面白い。魔力を込めていると、チーン! と音がしてフードドライヤーの箱が出来た。

 錬金釜から取り出して中も開けて確認をしよう。


「おぉ、ちゃんと開けると5段網があって置けるようになってるね。網は取り外しも出来るから乗せるのも簡単だね!」


『カノン、凄いな。もう出来たのか』


「まだ箱だけだよ。でも木材を入れたら箱がちゃんと出来たよ! 錬金スキルさんも錬金釜さんも凄いねぇ」


 この錬金釜さん、大きい物でも入れてくれるしとっても素敵なのです! でも重くて取り出せない物はどうなるんだろうね。


 お昼の時間になってしまったので、この先は夜に作ろう。お昼ごはんをヴァイスと食べたら、師匠とお店番を交代する。


 そういえば、フードドライヤーには内側にも緑の魔石を使わないとかな。温風を循環させるのに必要だろう。緑の魔石を2個、赤の魔石は今回は70度くらいにしたいから中サイズかな。


「失礼します」


「いらっしゃいませ」


 来たのは話し方の丁寧な綺麗な青い髪をした男性だった。この人はクラウスさんと言って、宮廷魔導士の人なんだそう。そんな凄い人まで師匠のお店に来るんだと思うと、ちょっとドキドキしてしまうね。


「おや、クラウスじゃないかい。今日は休みかい?」


「お邪魔してますよ。今日は魔力回復ポーションと、魔力があがる魔道具はないですか?」


「そうさね。魔力回復ポーションと魔力回復クッキーがあるよ。魔力があがる魔道具は今は少し上がるくらいのしかないね」


「魔力回復クッキーとは何ですか?」


「カノンが作った新商品さね。1枚食べると魔力回復ポーション(低級)くらい回復するんだよ」


 師匠が話をしてくれているので、その間にクラウスさんに魔力回復クッキーの試食を渡してあげる。


「えっ!? このクッキー1枚でですか!?」


 クラウスさんは恐る恐るクッキーを口にすると、凄く驚いた表情になった。


「美味しい。これで魔力回復ポーション(小)の効果だなんて素晴らしいです! これ下さいっ!」


「はい、ありがとうございますっ!」


 魔力回復クッキーを喜んで貰えて、とても嬉しいな。他にも何か出来ないか考えてみよう。食べて魔力が上がるとか、魔法の威力が上がるとか、体力が上がるとか出来たらいいんだけどなぁ。




 その日の夜、フードドライヤーを仕上げてみよう。外側にダンジョンにいたメンクーンから出た緑の魔石(中)、内側にも緑の魔石(中)、ボアーモンから出た赤の魔石(中)を貼りつけよう。

 さすがに3個は結構時間が掛かるね。集中力が必要だから40~50分くらい掛けて丁寧に魔石を貼り付ける。


「うぅ、これは完成は明日にしようかな。さすがにちょっとしんどくなってきた」


『無理する事はないと思うぞ。中途半端な物を作るよりも、明日にして完璧に作ったらどうだ?』


「そうだね。ヴァイス、ありがとう」


 明日完成まで作るとして、すぐに試作が出来るようにお肉を漬けておこうかな。うさぎゅーの赤身のお肉を切って、塩、醤油、胡椒、砂糖のタレに漬けて冷蔵庫に入れて置こう。


 ここまで出来たら、ヴァイスと一緒にお風呂に入ってから部屋に戻って休もう。もふもふのヴァイスにすりすりして寝るのが気持ち良くて幸せなんだよね!

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