第17話 ダンジョンで素材が沢山!

 25階へ下りると、ボス部屋の扉が見えた。この階のボスは巨大なスイートぽてとんだった。ヴァイスが手を振ると、スイートぽてとんがぽふん! とドロップ品を沢山ばら撒いて消えた。


 黄の魔石(大)と大量のサツマイモだった。大量のサツマイモを見て、ヴァイスのしっぽがご機嫌に揺れてる。お菓子が楽しみで仕方ないみたいだね。


 宝玉に手を置いたら、26階に下りる。26階に下りると、なんだかあちこちで土煙が見える。


「なんか土煙が見えるけど、なんだろうね?」


『何かが走り回っているみたいだな』


 そっと進んで鑑定してみると、ボアーモンという名前だった。ボアって事は猪みたいな魔物って事かな。


「ボアーモンって名前だったよ。ドロップ品は猪のお肉かな? でも、モンって何だろうね?」


『そうか。まあ、倒してみるか』


「そうだね、お願いします!」


 ヴァイスが少し先にいるボアーモンを倒すと、ぽふん! とドロップ品を落として消えた。ボアーモンから出たドロップ品は、赤の魔石(中)、沢山のアーモンド、沢山の猪肉だった。


「ボアーモンのアーモンってアーモンドだったのね!」


『アーモンド?』


「ふふっ、これもお料理にもお菓子にも使える木の実なんだよ~」


『なにっ!?』


 ヴァイスのしっぽが激しくゆらゆら揺れて、ご機嫌だ。猪肉って食べたことがないからちょっとドキドキだけど、ボタン鍋かな。楽しみだなぁ。


 ヴァイスが凄い勢いでボアーモンを倒していくので、私はあっちこっちとドロップ品をアイテムボックスに仕舞い先に進んで行く。


「ヴァイスは本当に強いよね~」


『当たり前であろう。我は世界最強だからな』


 ふふん! と胸を張っているけれど、私の肩の上に乗っているくらい小さいから、可愛いだけなんだよ?


「ふふっ、いつもありがとうね。とっても心強いよ」


『我が居れば問題ないぞ』


「うんっ、おかげで素材も沢山で嬉しいよ~」


 魔石の中サイズが赤、緑、黄が手に入ったから、何が作れるようになるかとっても楽しみだ。30階までにどんな素材が手に入るのか楽しみにしながら、先に進んで行こう。


 27階もボアーモンだったので、さくさくっとヴァイスが倒しながら進んでいく。沢山のアーモンドが手に入ったので、粉にしてアーモンドプードルにしてお菓子にしたり、サラダの上にかけてもいいなぁ。


 28階に下りると、今度は何かがちょこちょこ動いているのが見える。下に下りてみると、身体がクルミみたいな体にニワトリの頭と羽が付いているみたいな魔物だ。

 鑑定してみると、コックルミと書いてあった。


「なるほど、コックルミだって。コッコとクルミが合わさってる感じかなぁ」


『そのようだな』


 すでに目の前のコックルミは倒されていて、ドロップ品が散らばっている。


「ヴァイス、早いね」


『ああ。だがコックルミは一斉に襲ってくるから、周り中から来るぞ!』


「えぇ!?」


 周りを見回してみたら、色んな方向からコックルミがこちらに向かってくる。


(こ、怖すぎるー!)


 ヴァイスが全方向に風の刃を放ったみたいで、襲ってきていたコックルミが一斉にぽふん! と消えていった。

 コックルミのドロップ品は、白の魔石(中)、沢山のコッコ肉、沢山のクルミだった。一斉に襲われたので、私とヴァイスの周りには沢山のドロップ品が落ちている。アイテムボックスに全部仕舞うと先に進む。


『カノン、このクルミも何かに使えるのか?』


「うん、お菓子にも使うし、クルミパンにしても美味しいよ~」


『そうなのか! よし、沢山倒して帰るぞ!』


「ふふっ、頑張って!」


『任せておけ!』


 その後も30階の階段の所まで休む間もなくコックルミが襲ってきた。しかもヴァイスが言うには、身体がクルミなだけあって硬いらしい。


 30階に下りてボス部屋に入る前に、クッキーとお茶でゆっくりしてからボス戦に挑もう。


「ヴァイス、クッキーはどれがいい?」


『そうだな。今日は魔力回復クッキーにしておくか』


「はい、どうぞ」


 アイテムボックスからクッキーを取り出すと、ヴァイスに持たせてあげる。私は2人分のお茶を入れてから回復クッキーを食べる。この回復クッキーのお陰で、いくら歩いてもそんなに疲れないんだよね。


 お茶をしてお片付けをしたら、ヴァイスを肩に乗せてボス部屋に入る。ボスは大きなコックルミとボアーモンも沢山いた。


「こ、これは厳しくない!?」


『何を言う。我に任せろ!』


 そういうとヴァイスは、フロア全体に竜巻を起こした。


「えぇぇぇっ!? 竜巻!?」


『ふんっ。我がこんなのに負けるわけなかろう!』


「うわぁ、コックルミとボアーモンが飛んでったよ」


 竜巻で上に飛ばされたら、どんどんドロップ品に変わっていく。ヴァイスが本気で戦うと一体どうなるんだろうかとドキドキするね。


「うわぁ、ドロップ品が飛んで行ったね~」


『そうだな』


「お肉無事かなぁ」


『何っ!?』


 ヴァイスは風魔法でドロップ品を受け止めてくれた。お肉も食べ物も大事だよね。

 大きなコックルミからは白の魔石(大)が、ボアーモンは赤の魔石(中)だった。後は沢山のクルミとアーモンド、それから沢山のコッコ肉と猪肉。


「今日は沢山お肉が出たから、少し冒険者ギルドに売ったら良いかもしれないね」


『そうだな。さすがに全部は食べきれんだろうからな』


「うんうん」


 30階の宝玉に触れてから魔法陣で1階へ戻って、ダンジョンを出て街へ向かう。大量の魔石を手に入れたけれど、青の魔石(中)が手に入らなかったなぁ。

 30階から上の階層で出てくると良いんだけど、どうだろうなぁ。


「ヴァイス。青の魔石ってやっぱり水関係の魔物からじゃないと出ないのかな?」


『そうだな。大体は海や川にいる魔物から出るな』


「やっぱりそうだよね~」


『どうしたのだ?』


「ダンジョンで青の魔石が小しか手に入ってないんだよね」


『なるほど。作りたい物が作れないかもしれないのだな』


 黒の魔石もあんまり手に入っていないけれど、まだそんなに使う事がないみたいだから良いのだけど、青の魔石は欲しいよね。冷蔵庫とか他の物も作れそうだしなぁ。


『そのうち海にでも行ってみるか?』


「海、どこら辺にあるの?」


『王都から南へ行くとあるな。リンドーロのさらに南だな』


「そうなんだ。今度行ってみたいね!」


『我に乗ればすぐだぞ』


「そっか、そうだね! その時は乗せてくれる?」


『任せておけ!』


「ふふっ、ありがとう!」


 ヴァイスが乗せて飛んでくれるならきっとすぐ着いちゃうね。お店の定休日に日帰りでも出来ちゃいそうだから、とっても楽しみだなぁ。


『来週の休みに行ってみるか?』


「うん、行ってみたいっ!」


『よし、来週は海に行くぞ!』


「お魚とかも捕れるといいよね~」


『捕れるが、旨いのか?』


「もちろんだよ!」


『よし、我は沢山捕るぞ!』


 ヴァイスのやる気に火が付いたみたいです。やる気満々のヴァイスなので、青の魔石もお魚も沢山手に入りそうだね。

 お店に帰ると、今日出た霜降りの牛肉を使ってすき焼きを作ろう。きっと師匠もヴァイスも気に入るはず!


『カノン、これはなんだ! 旨いぞっ!!』


「こんな柔らかいお肉、初めてだよ!」


「今日出たいちごみるぎゅーのお肉なんですよ~」


『あの肉はこんなに旨いのか! カノン、なくなったらまた採りに行くぞ!』


「ヴァイス、いっぱい狩って来たから売る程あるよ?」


『そ、そういえばそうか』


「そんなに狩ってきたのかい」


「ヴァイスが強いので、沢山お肉がありますよ~。今度は焼き肉にしましょうね!」


「ははっ、楽しみだねぇ」


『焼き肉! 楽しみだぞ!』


 みんなで美味しくすき焼きを堪能した後は、ゆっくり休んで明日からまた頑張って働くぞー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る