第12話 魔力回復クッキーと調味料を植えよう
朝ご飯を食べた後、ヴァイスと一緒に錬金部屋に向かう。まずはいつもの回復ポーション20本を作ってしまおう。その後、魔力回復ポーションも20本作る事になったんだよね。
『カノン、今日はクッキーは作らんのか?』
「ふふっ、クッキーお気に入りだもんね。今日は魔力回復クッキーを作ってみる予定だよ」
『よし、我が味見してやるぞ!』
「うん、お願いね」
クッキーが楽しみで、しっぽをご機嫌でゆらゆらしているヴァイスが可愛くて、ついにこにこしてしまう。早くポーションを作り終わらせて、クッキーを作ってあげよう。
ポーションが作り終わったので、次は魔力回復草を使って魔力回復クッキーを作ろう。
これも葉っぱと根っこを刻んで、クッキーの材料を入れたボウルに入れたら錬金棒で混ぜ合わせる。クッキー生地が出来たら錬金釜に入れて蓋をして、魔石に魔力を流していく。
チーン!
蓋を開けてクッキーを取り出して鑑定をしてみる。
魔力回復クッキー:食べると魔力回復ポーション(低級)の効果がある。
「おっ、出来たよ!」
『さすがカノンだな。よし、味見だ!』
ヴァイスの口に1枚入れてあげる。師匠にも味見して貰おう。お店にいる師匠にクッキーを持って行く。
「師匠、魔力回復クッキーが出来たので味見お願いします」
「おや、もう出来たのかい?」
私も食べてみると、爽やかな味がしてハーブクッキーみたいで美味しかった。
「これも回復クッキーと少し味が違うけど、さっぱりと美味しいねぇ」
「ちゃんと回復効果も出たので良かったです」
「そうだね、これも今日売ってみようかね」
お店で出して貰える事になって嬉しい。次はプランターを作って、お醤油とかの調味料を植えよう。同じプランターで何種類か植えられるらしいので、やってみよう。
プランターに白の魔石(中)と黄の魔石(中)を魔力で貼り付けて行く。少し慣れて来て30分くらいで2個とも貼り付ける事が出来た。
魔石を張り付けたプランターを錬金釜に入れて蓋を閉めて魔力を込めると、錬金釜の中でくるくるプランターが回っている。
チーン!
蓋を開けて土が入ったプランターを取り出したら、植える物の準備をしよう。小瓶に醤油、みりん、味噌を入れた種(?)を準備して、プランターの中に置いて、また部屋の隅に置いておいた。
「うーん、本当にこれで育つんだろうか?」
『不思議な光景だな』
「うんうんっ」
思いっきり何度も頷いちゃったよ。だって、プランターに瓶に入った醤油とみりんと味噌って、一体なんの儀式なの!? って思うよね。お米と同じで明日には大きくなっているんだろうかと、ちょっと楽しみでもあったりする。
今日はお買い物へ行きたいからそろそろ出かけよう。お昼に間に合わなくなってしまう。
「ヴァイス、お買い物へ行くけどどうする?」
『もちろん我も行くぞ』
「ふふっ、いつもありがとうね」
『今日は何を買うのだ?』
「パンを買いたいのと、小麦粉とかも追加で欲しいかな」
『それは大事だな。行くぞ!』
そういうと、私の肩に乗ってくれたので、お店を出てまずは冒険者ギルドで買い取りをして貰おう。それから市場へ向かう。今日はどんな物があるか楽しみだな。
市場でまずは野菜を見ていたら、くるくる巻かれた野菜をみつけた。これにお肉を巻いて食べたら美味しそうだ。キャベツとかの葉物野菜もいくつか買っておいた。
それと、果物屋さんも見つけたので何か買って行こうかな。そういえば、錬金釜さんでパンが作れないかな?
『カノン、どうした?』
「えっ?」
『なんか楽しそうになったが、何かあったか?』
「えっ、良く分かったね。パンが作れないか試してみようと思っていたら、楽しくなっちゃったんだよね」
『なるほど、旨い物を作るんだな! よし、我も食べるぞ!』
「ふふっ、作れたら味見してね」
『任せておけ!』
リンゴとブドウを見つけたので、買って行こう。後はマンゴーみたいな果物があったので、それも買ってみよう。ドライフルーツにしても良いかなって思うんだよね。
その後は食材屋さんへ向かう。
「エリーゼさん、こんにちは~」
「あら、カノンさん。いらっしゃいませ」
「小麦粉、バター、砂糖、卵、牛乳を多めに貰って良いですか?」
「えぇ、大丈夫よ」
「後、小麦粉をふわふわにするようなのないですか?」
「あるわよ。このふわふわの実は種の部分を小麦粉に混ぜて焼くとふわっとするのよ」
「それです! それも下さい」
ベーキングパウダーみたいなのが手に入った。これでホットケーキが作れそうな気がする!
それにヴァイスと約束しているドーナツも作れると思うと、とても嬉しい。後はオイルも買っておかないとだね。
「エリーゼさん、お茶ってどこかで売ってますか?」
「お茶だったら、うちの2軒隣がお茶屋さんよ~」
「えっ!? 気づいてなかったです。ありがとうございます、行ってみますね」
「ふふっ、そこのお茶美味しいからおすすめよ」
「わぁ、楽しみです!」
沢山買えたので、全部アイテムボックスに仕舞ってからお店を出て、2軒隣のお茶屋さんへ向かう。お店のドアが閉まっているから分からなかったみたい。そっとドアを開けて入ると、お茶の良い香りがして来た。
色々な種類のお茶があって凄く嬉しい。緑茶も紅茶もあって幸せ過ぎる! とりあえず色々な種類を少しずつ購入させて貰った。
今度はパン屋さんへ向かう。自分でも作る予定なので、6個だけ買う事にした。
お店に戻ったら、まずはお昼ごはんを作ろう。スープを作って焼いた牛肉をパンに挟んで、紅茶を入れたら完成! 今日はさっき買った紅茶の中で、シンプルな紅茶を入れてみた。
ヴァイスとご飯を食べたら、師匠とお店番を交代する。
「こんにちは~、ってあれ?」
「いらっしゃいませ。師匠に弟子入りしたカノンです、よろしくお願いしますね」
「わぁ、とうとう弟子を取ったのですね~。私は冒険者のヘルミーナです。よろしくお願いしますね」
ヘルミーナさんは長い青い髪が綺麗な魔法使いの冒険者さんです。そして優しそうな笑顔がとっても素敵なのです!
「これ試食しながら見て下さいね~」
「まぁ、ありがとう! これは何かしら?」
「魔力回復クッキーです。その一枚で魔力回復ポーション(小)と同じ効果があるんですよ~」
「えぇっ!? そんな物があるんですね。あっ、しかも凄い美味しいっ!」
「今日の新作なんですよ」
「これ下さいっ! 後、魔力回復ポーションも5本ください」
魔力回復ポーションと魔力回復クッキーを準備していると、師匠が出て来た。
「おや、ヘルミーナじゃないかい。そのクッキー良いだろう? カノンが作ったんだよ」
「えっ、カノンさん。凄いですっ!」
「回復クッキーもあるんだよ」
「えっ、それも下さいっ!」
「ありがとうございますっ!」
どっちのクッキーも購入してくれてなんだか嬉しいな。少しでも冒険の役に立てるものが作れるように、もっと色々な物が作れるようになりたいな。
お夕飯の後、今日もクッキーの追加分を作っていると、ヴァイスに声を掛けられた。
『カノン、錬金術のレベルが4になってるぞ』
「えっ、もう!? 早くないっ!?」
『それだけ頑張ってるって事だろう』
「ふふっ、後1で省略が使えるようになるね。楽しみだなぁ」
『そうだな』
省略が出来るようになったら、また更に楽しくなりそうだね。
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