第10話 王都ダンジョンへ

 朝早く起きたら、ダンジョンへ行く準備をしよう。買っておいたパンを使ってキャベツとワイバーンのお肉を挟んで持って行こう。朝ご飯は、ベーコンとキャベツ、トマトをパンに挟んで食べようかな。


 それとミルクティーを入れてご飯にする。師匠もわざわざ早く起きてくれたので、一緒に食べる。


「気を付けて行ってくるんだよ」


「はい、師匠。行ってきますっ!」


『行ってくる』


 ヴァイスを肩に乗せて、お店を出て北門へ向かう。北門で手続きをして貰うと、北西に向かって歩いて行く。

 歩く途中も鑑定を発動させて、採取する物がないか確認しながら進んでく。


 途中で癒し草があったので、採取してから進んで行くと、30分くらい歩いたところにダンジョンの入り口があった。


 入口には騎士さんが立っていて、手続きをしてくれるんだそう。騎士さんに手続きをして貰うと、ダンジョンへ入っていく。


 このダンジョンは洞窟みたいな暗くてジメジメしたダンジョンではなく、石造りの壁が綺麗なダンジョンで中も明るかった。


「ダンジョンって明るいんだね」


『中には暗いのもあるだろうが、ここは明るいな』


「でも明るい方が怖くなくて良いかもしれないね」


 歩いて行くと、ドロッとした物がゆっくり動いている。


「あれ、なに!?」


『あれはスライムだな』


「えっ!? 可愛くないっ!」


『カノン、可愛くても倒して良いんだな?』


「あっ、それはダメ。可愛くなくて良かったです!」


 丸いぽよんとしたスライムだったら、可愛くて倒せない気がする。これで良かったんだと思う。目の前に来たのだけ倒して進んで行く。

 スライムのドロップ品は青の魔石(小)だった。


 階段を見つけて下に下りると、ここにもスライムがいた。ただ、1階にいたのよりも少し大きい。


「うわぁ、大きいスライムはダメだぁ」


『そうか。だったら倒していけば良いだけだな』


「お願いします!」


 世界最強のヴァイスにスライム倒させてるって良いんだろうか? ちょっといけない事をしている気分になるね。


 階段を見つけて3階へ下りると、今度はスライムじゃない魔物だった。


「ヴァイス、あれ何? なんか、もこもこした馬?」


『カノン、魔物にも鑑定出来るぞ?』


「そういえばそうだった。あまりにもびっくりしすぎて忘れてたよ」


 もこもこの馬みたいなのを鑑定してみると、うまいめぇ~って書いてある。


「えっと、馬なの? 羊なのっ!?」


『うまいめぇ~だな』


 ヴァイス、そうじゃないっ! とりあえず、こちらに向かってきたうまいめぇ~をヴァイスが倒すと、沢山ドロップ品を落として消えた。


 ドロップ品は緑の魔石(小)、沢山の馬肉、沢山の羊肉、大量の羊毛だった。


「結局どっちもなのね」


『そうみたいだな』


 倒しながら進んで行くと、3階と4階はうまいめぇ~が生息していた。5階へ下りると、いくつかの冒険者パーティーが座って待っている。


 このダンジョンは5階層毎にボスが居て、倒すとその階までいつでも飛べるようになるのだそう。

 そして、ここに待っている人達はボス部屋が空くのを待っているんだって。


「お茶しながら待とうか」


『それは良いな』


 端っこの方へ行って、クッキーを出してお茶にしよう。そういえば、アイテムボックスの中の紅茶も栽培キットで栽培出来るのでは?

 これで、お茶が売られていなかったとしても大丈夫だね!


 ヴァイスとお茶をしながら待っていると、順番が次になったのでボス部屋の扉の前に移動して待つ。


 扉が開いたので中に入ると、大きくて黒いうまいめぇ~がいる。


「大きくて黒いねぇ」


『そうだな』


 ヴァイスが答えたと同時にぽふん! とボスのうまいめぇ~が居なくなった。


「えっ、何やったの!?」


『ちょっと風を送ってやっただけだ』


「ヴァイス、恰好良いっ!」


 そういうと、ヴァイスのしっぽがゆらゆらとご機嫌で揺れる。大きくて黒いうまいめぇ~のドロップ品は、黒い魔石(中)、沢山の馬肉、沢山の羊肉、大量の黒い羊毛だった。


 階段の横に宝玉があって、そこに手を乗せるとここまでいつでも来られるようになったらしい。


 階段を下りていくと、なんだかぴょこぴょこ何かが動いている気がする。


「何かいるみたいだね?」


『なんかいるな』


 下に下りると、そこかしこに穴が開いている。なんだろうと思ってみていると、ぴょこっと頭を出したのはもぐら?


「もぐら? でも、大きすぎないっ!?」


 頭だけで1メートルくらいある。全体だったらどれくらい大きいんだろうか。しかも、なんかもぐもぐ食べてるし。

 鑑定してみると、もぐもぐらと出ている。だからもぐもぐしてるんだね。しかも、冒険者達の装備も食べちゃうらしい。


 怖い魔物だなと考えていたら、ヴァイスが私の視界の端で少し動いた気がすると、ぽふん! ともぐもぐらが倒されてアイテムがドロップされた。


「相変わらずヴァイスが強すぎる」


『カノン、ここはまだ6階だぞ。しかも我が負けるわけなかろう』


「それもそうだね」


 もぐもぐらのドロップ品は、黒の魔石(小)、爪、鉄だった。鉄なんて落とすんだね。やっぱりもぐらで地面を掘っているから見つけられるのかな?


 その後ももぐもぐらを倒しながら進んで行く。7階の階段の近くにある安全エリアでお昼休憩にする。


『カノン、これは何が挟んであるんだ?』


「キャベツとワイバーンのお肉を炒めた物を挟んであるよ」


『どうりで旨いと思ったら、ワイバーンだったのか』 


「ワイバーンのお肉美味しいよね」


『まだあるのか?』


「ふふっ、まだまだ大量にあるよ~」


『ならば良い。なくなりそうだったら言うと良い』


 倒しに行く気満々のヴァイスだ。お昼ごはんにお肉サンドとお茶を食べたら、次の階へ向かおう。

 8階へ下りると、ニワトリがいるみたい。でも何かおかしい。鑑定してみると。


「コッコリス? ニワトリ? リス?」


『どっちもだ!』


 被せ気味でヴァイスから突っ込みを貰った。またこのパターンなのー!?

 えっ、でもリスの肉は食べないよね!?


 ぽふん!


 コッコリスのドロップ品は、白の魔石(小)、コッコ肉(ムネ)、コッコ肉(モモ)、毛皮だった。


「なるほど、リス部分は毛皮になるのだね」


『そうみたいだな』


 リス肉が出なくて良かった。ちょっとドキドキしちゃったよ。でも、白の魔石が出るのは嬉しい。


「でも、白の魔石がやっと手に入って嬉しいね!」


『そうだな。これで栽培が出来そうだな』


「でも小サイズなんだよね。プランターに使っていたの中サイズなんだよね~」


『ふむ。もう少し先に進まないとだな!』


 ヴァイスが張り切って倒してくれるので、どんどん先に進んでいく。10階に着くと、また少しボス部屋の前で待ったけれど、すぐに中に入れた。


 ボスの部屋に入ると、大きなコッコリスだった。ヴァイスが手を少し動かしたら、目の前の大きなコッコリスがぽふん! とアイテムを沢山ドロップして消えていった。


 ボスのコッコリスのドロップ品は、白の魔石(中)、コッコ肉(ムネ)、コッコ肉(モモ)、毛皮だった。


「やった、白の魔石(中)だよ。所でヴァイス、今日はどこまで行く?」


『そうだな、まだ時間があるだろうから15階まで行って帰るとするか』


「そうだね。でもヴァイス疲れてない? 大丈夫?」


『ああ、問題ない』


 よし、今日は15階まで行こう! 10階のボスを倒したし、宝玉に手を置いてから11階に下りてみよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る