第7話 効果付きのアクセサリーを作ろう
錬金部屋に入ると、癒し草を出して葉っぱは大きく刻んで根っこは細かく刻んでみる。
錬金釜に刻んだ癒し草と蒸留水を1本入れたら、蓋を閉めて魔石に手を置き普通に蛇口を捻った感じで魔力を流していく。
チーン!
蓋を開けてポーションを鑑定してみると、回復ポーション(中級)と書いてある。まだダメみたいだ。
ポーションを良く見てみると、ポーションの中に何かが漂っている感じがする。鑑定スキルで良く見てみると、材料が汚れていたと出ている。
今度は癒し草を良く洗ってみようかな。根っこの部分にも土が残らないように綺麗に洗って使ってみよう。
チーン!
出来たポーションを鑑定してみると、回復ポーション(低級)と出ている。
「えぇっ! 今度は低級だって。癒し草の洗いすぎもダメなの!?」
『カノン、どうした?』
「うん、さっきの中級の方で材料が汚れていたって鑑定で出たから、今度は癒し草を良く洗ったら低級のポーションになっちゃったの」
『それはクリーン魔法ではダメなのか?』
「あっ、それだよそれっ! ヴァイス、ありがとう! やってみるよ!」
癒し草を出して、綺麗になるイメージをしてクリーン魔法を掛ける。それから癒し草の葉と根っこを刻んで錬金釜に蒸留水と一緒に入れる。
チーン!
出来上がったポーションをドキドキしながら鑑定してみると、回復ポーション(上級)となっていた。
「あっ、出来たよっ! ヴァイス、ありがとう~」
『カノン、良かったな』
「うんっ、嬉しいっ!」
その後もう1本作っても上級が出来たので、お片付けをしてヴァイスと一緒にお風呂に入って部屋に戻ろう。
次の日、また朝起きたら大きな甕にお水を汲んでから朝ごはんを準備する。今日は目玉焼きとソーセージを焼いてパンと紅茶はミルクティーを入れた。
紅茶は日本で買っていたものなので、なくなる前に街で見つかると良いな。今度お買い物へ行く時に探してみよう。
3人で朝ごはんを食べたら、今日も錬金術のお勉強です。でも、昨日回復ポーション(上級)が出来たので、師匠の前でも作ってみる。
ヴァイスは日向ぼっこしてお昼寝している。
「うん、良い出来だね。ポーション類は大体こんな感じで出来るはずだよ。たまに魔力の通し方が違う物もあるけれど、試行錯誤して作っていくんだよ。それと毎日20本作る事!」
「はいっ!」
「今日は、アクセサリーに魔石を付ける作業をやるよ」
「はい!」
師匠がやるのを見せて貰うと、今日はドッグタグみたいな金属の板に魔石を付ける作業をするのだって。
金属の板の上に魔石を置いて、魔力で馴染ませて張り付けるんだそう。
師匠がやっているのを見せて貰ったけれど、繊細な作業になるみたいだ。これもきっと魔力操作が必要になってくるんだろう。
今回は少しずつ魔力を流すんだと思うんだよね。
「こうやるんだよ。ほら、やってみな」
「はい!」
金属の板に魔石を置くと、右手の人差し指から蛇口を少しだけ捻ってちょろちょろ魔力を出す感じにして魔石を張り付けて行く。
これがなかなか難しい。どうしても手がぶれて思った所に魔力が行かない。
「うわ、これ難しい」
「そんなに簡単に出来たら錬金術師が居なくなるよ」
「確かに!」
魔力の出し方を変えた方が良いのかな? 蛇口からよりもボールペンみたいに触った所に魔力が付く感じはどうだろう?
今やっていた金属の板と魔石でもう一度魔力を流してみると、出来なかった。
「それは1回やったらもう出来ないから、やり直しだよ」
「わわっ、そうなのですね!?」
私が失敗すると材料を次々に無駄にしてしまうなんてっ! 早く出来るようになろう。
新しい金属の板と魔石を出して、指先をボールペンみたいな感じで魔石の上を滑らせていく。
今回は良さそうな感じだ。やっぱり魔力がぶれないのが良いみたいだ。それでも丁寧に魔石に魔力を流していくので時間は掛る。20分くらい掛けて何とか完成した。
今回、魔石が小さかったから良いけれど、大きい魔石だとどれくらい時間が掛かるんだろう。
その間、師匠はポーションを作ったり他の物を作ったりしている。師匠の作業が終わったタイミングで話しかけてみて貰う。
「師匠、これでどうですか?」
「うん、これなら使えるね。まさか2回で出来るとは思わなかったよ」
「良かったです!」
魔石を張り付けるのは材質で少し時間の掛かり方が変わるけれど、同じやり方でどの素材にも貼り付けられるみたいだ。
「これに付与を付けるよ。付与は魔石の色と想像する物が合えば付ける事が出来るさね」
「えっ、これは緑の魔石だからなんだろう?」
「緑は風に関係のある付与なら付けられるよ」
「な、なるほど」
風に関係するもの……素早さが上がるってどうだろう。
「錬金釜に入れる時は、ある程度魔力を流さないと付与が出来ないからね」
「はいっ!」
普通に魔力を流して良いみたいだ。錬金釜に今作った魔石の付いた金属の板を入れて蓋を閉める。
魔石の上に手を置き、魔力を普通の量で均等に流していく。
チーン!
蓋を開けて鑑定してみると、素早さが少しアップすると出ている。緑の魔石は素早さをあげてくれるのが付くんだね。
「うん、上手に出来てるじゃないかい。これならお店にも出せそうだね」
「わぁ、嬉しいです!」
『カノン、良かったな』
いつの間にか起きていたヴァイスもそう言ってくれて、とっても嬉しい。
魔石とイメージが合えばいいんだね。これは後で属性を聞いておかないと難しいのかな。
この世界の魔石は、赤、青、黄、緑、白、黒の魔石があるみたい。赤はやっぱり火だよね。青は水、黄は土、緑は風だと教えて貰った。白は何だろう?
「師匠、白と黒の魔石は何ですか?」
「白は光とか聖だね。黒は闇だね」
「そうなのですね。でも闇ってどんな付与が出来るんですか?」
「そうさね~。気配を遮断して魔物に見つかりにくくするとかだね」
「なるほど!」
その後はポーションを20本作ったら、お昼ごはんを作り始める。今日はご飯を炊いて、グリーンドラゴンのお肉で焼き肉丼にしてみようかな。
ヴァイスも一緒に食べられると美味しく食べられると思うんだよね。
「今日のこれはなんだい?」
「今日はグリーンドラゴンのお肉を使った丼です!」
「丼? グリーンドラゴンのお肉なのかいっ!?」
「ヴァイスが沢山倒してくれたのでお肉がいっぱいあるんですよ~」
「グリーンドラゴンのお肉なんて高くて滅多に食べられないって分かってるかいっ!?」
「ふふっ、でも沢山あるので気にせず食べちゃいましょう~!」
『なんだか旨そうな香りだな!』
師匠とヴァイスに丼の説明をしながら、ご飯を食べ始めると2人とも丼を気に入ってくれたみたいで、がつがつと食べだした。
「カノン、この丼良いね。他にもあるのかい?」
「えぇ、上の具材を替えれば色々な丼になりますよ~」
「そりゃいいね。これからも楽しみだね」
『我もこれ好きだぞ! もっと色々食べてみたいのだ』
「ふふっ、また他の丼も作るね」
お昼ごはんを食べた後は、お店番をしながら商品の勉強をする。色々と鑑定をしながら接客をする。
ヴァイスは日向ぼっこしていたり私の肩に乗ったりして過ごしている。
「ヴァイス、お米ってどこかにあるかな?」
『お米?』
「うん、今日のお昼に食べた粒々のがご飯で、お米を調理したのがご飯ね」
『ふむ、お米か』
「今は私が向こうにいる時に買ったのを食べているけれど、お米が手に入らないと丼が食べられなくなっちゃうんだよ」
『なにっ!? それは大事だぞ! カタリーナに聞いてくるぞ!』
そういうとヴァイスは1人でパタパタと飛んで師匠の所へ飛んで行った。そういえば、師匠とヴァイスってお話出来たのかな?
少し接客したり、商品の鑑定をしながら待っていると、ヴァイスと師匠が一緒に戻ってきた。
「カノン、お米がないと丼が出来ないって本当かいっ!?」
「えっ? えぇ、お米が王都の中で売っていると良いのですけど」
そう言うと、お米を見せて師匠にこの王都で買えるのか聞いてみると、師匠も見たことがないみたいだ。
「これが丼の下にあったお米かい? 見たことがないんだよねぇ。でもあの丼が食べられなくなるのは困るから、栽培してみたらどうだい?」
「栽培するにも、このお米が精米しちゃっているので芽が出ないのですよね~」
「何を言ってるんだい、錬金術で出来るさね」
「えぇぇ!?」
『カタリーナ、出来るのか?』
「あぁ、出来るとも!」
あれ? いつのまにか師匠とヴァイスがお話している気がする。そして栽培も出来るようになるらしい。
明日の午前中に教えてくれる事になった。
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