第33話 再開

「ぃやあ!」

 俺が渾身の一撃を決めると


ガ!…ズズ…

 やった!動いたぞ!

 俺は脳震盪でくらくらする脳内で、達成感を感じる。


「お疲れさまでした」

 アイアスが話しかけてくる。


「はあ…はあ…どうだアイアス、合格か?」

「はい、合格です。

 この方法はいくつかある正解の一つです。

 他には2方向から力を入れて回転させたり、火属性の魔法で底面を少し溶かしたりですね」

 そんな方法もあるのか。


「それでは、休憩したら基本の型を伝授します。

 基本の型を覚えれば後は自分で学べるように体系化されています」

 それはすばらしい。



 俺は今基本の型を反復している。アイアスからOKさえ貰えれば、あとは一人でできる。

 基本の型の傾向は、モンスターとの体格差を埋める事だ。

 例えば下から潜り込んでインファイトしたり、あるいは上に飛び乗って攻撃したりだ。特にこの流派は山脈以北の寒冷地で発達したもので、巨大なモンスターとの戦い方を重視している。


ザッザッザッ

 洞窟の中から足音が聞こえてきた。


「…!退避!」

「…なんじゃ?」

 子育ての時間を奪われた氷龍さんはたいそう不機嫌なご様子だ。


「氷龍さんも、ユウト達も、落ち着けよ」

 出てきたのはユウト達だった。ハルカとサクマ、セドナもいる。


「タツさん?なんでこんなところにいるんですか」

 俺に気づいたユウト達は武器を下ろす。まさかこんなところで会うとは予想していなかったな。



「ほう、となるとレベル上げの途中でここに来たと」

「はい…本当に申し訳ございませんでした」

「いやいや、いきなり龍がいたら誰でも驚くであろう」

 氷龍さんは人間モードになってユウトと話している。


「や!た!」

 俺と一緒にサクマが修練をしている。

 氷に関してはサクマはテコのようなものを使いクリアした。

 驚いた事にセドナは身体の使い方と付与だけでクリアし、すぐに基本の型も覚えた。機械のようなやつだな。今はあちこちを調べている。


 向こうではハルカがアイアスと剣を習い合っている。お互いに学ぶことがあるのだろう。



 やがて話も終わったようだ。


「タツ殿、あのユウトという少年は良い子だな。ちゃんとわきまえておるし、根から素直だ」

 ユウトは氷龍さんに気に入られたようだ。


 氷龍さんか…何か忘れているような…


「そうだゴブリン!」

 大声にみんなが振り返る。


「ユウト!草原の深層のゴブリン達が東に進出してきているらしい!」

「…詳しく聞かせてください」

 危ねえ、忘れるところだった。

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