第32話 閃き

 氷は冷たいが、アイスマンのおかげか痛くはない。


「はぁぁああ!」

 氷は押してもびくともしない。床は氷だがザラザラしていて摩擦があり、力を入れやすいがそれ以上に氷を動かせない。

 実際、もう1時間ほど立っているがびくともしない。

 たしか水は1立方メートルで1トンなので、この氷は500キログラムほどあることになる。

 どうするべきか…


 そうだ、飛び蹴りを試そう。

 俺は距離を取り、『パワーアシスト』『ビルドアップ』を掛ける。そして『ダッシュ』を使いゆっくりと助走をつける。


タッタッタッ…ガッ!

 痛え!少しダメージを食らった。だが手応えはあった。

 俺は『ヒール』を掛けながら再挑戦する。『ムーブアシスト』と『スピードアシスト』も掛けておこう。


 それでも氷は動きません。

 今は休憩タイムだ。うーん…


 思考に集中する。雑音が消え、視野が狭まり、肌の微細な感覚がなくなる。


 なぜ氷が倒れないのか。それは力が足りないからだ。

 もっと力を出すには助走を強くする必要がある。。


 試しに足だけに付与を掛ける。だめだ。


 別の方法

 付与とは魔法だ。

 込める魔力を増やす…システム的に不可能だ。却下。


 魔法は魔力と抵抗が関係する。

  魔抵抗…


 あ、閃いたぞ!閃いた!

 俺は『マジックアシスト』を掛ける。

 次に足以外の各部に『レジストアシスト』を掛ける。

 そして全体に『パワーアシスト』、『ムーブアシスト』、『スピードアシスト』を掛ける。


 成功だ!足が熱くなる感覚と共に足だけに付与が流れ込んでくる!

 俺は『ダッシュ』を使い駆け出した。

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